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「本の内容をよく覚えている人」が実践していること



2021年01月08日 公開

尾藤克之(コラムニスト・著述家)

尾藤克之

「本を読んでも内容を忘れてしまう」「どこかで読んだはずなのにどの本の内容か思い出せない」といった悩みを抱えるビジネスパーソンは多い。読んだ内容を記憶として蓄積し、仕事でも役立てるにはどうすればいいのか。「1年に1,000冊読み、年間400本の記事を書く」を長年の習慣とするコラムニストの尾藤克之氏が、記憶の定着率を高める読書法を紹介する。

※本稿は『THE21』2月号より一部抜粋・編集したものです。

取材・構成:塚田有香

 

「一度読んだだけ」では忘れるのが当たり前

せっかく本を読んだのに、「面白かった」「ためになった」で終わってしまい、気づくと内容をすっかり忘れてしまう。そんな人は多いはずです。結論から言うと、読んだことを忘れるのは当たり前です。別にあなたの記憶力に問題があるわけではありません。

有名な「エビングハウスの忘却曲線」によれば、人は学んだことを20分後には42%忘れ、1時間後には56%忘れ、1日後には67%忘れ、31日後には79%忘れます。

つまり、一度読んだだけでは、大半の内容を忘れてしまうのも仕方ないということ。本の内容を記憶したいなら、“読みっぱなし”は厳禁です。

さらに、カナダのウォータールー大学の研究結果によると、何も知らないところから学習して知識を得た状態を100%とした場合、24時間以内に10分間の復習をすると記憶率は100%に戻ります。

次に1週間以内に5分の復習をすると、また記憶率は100%に戻り、さらに1カ月以内に2〜4分の復習をすると、記憶率は100%に戻ります。細かいデータを紹介しましたが、要するに本の内容を記憶に定着させたいなら、何度も読み返して反復する作業が不可欠だということです。 

反復の方法としては、アウトプットがお勧めです。読書日記を書いたり、ブログやSNSにあらすじの紹介や感想を書いたり、読書会に参加して本の内容について語り合ったりするのは、非常に効果的です。

アウトプットするには、本の内容を振り返る作業が不可欠です。さらに、本について発信したり、感想を他の人と共有するたびに読んだ内容が反復され、記憶にしっかり留まります。

実際に私自身も、「1年に1000冊の本を読み、年間400本の記事を書く」という習慣を長年にわたり実践してきたことで、読んだ内容の吸収率が非常に高いことを実感しています。

 

読みながらのメモは「ひらがなで殴り書き」

ところが、アウトプットを勧めても、「ブログや読書日記を書く頃には、どこが大事なポイントだったか忘れてしまう」という人がよくいます。

この問題の解決策は、あとで振り返りやすい読み方をすること。書き込みをしたり、ページの端を折ったりして、重要な箇所をマークしながら読んでください。

読書を学びにしたいなら、きれいに読む必要はありません。アウトプットしやすいように、気になった箇所はどんどん折って、書き込みましょう。1日後に7割近く忘れてしまったとしても、本を開けば「自分はここが気になったのか」と思い出せます。

書き込みをしながら読むことで、自分にとって重要な情報や学びが頭の中で整理されて理解が深まるので、記憶への定着率も高まります。ここで大事なのは、丁寧に書き込もうとしないこと。

「この表現の、こんなところに感銘を受けた」などと細かく書き留める必要はありません。「ここ」「いい」などとひと言で書くか、二重丸や二重線を書き込むだけでもいいでしょう。大事なことは、「自分はこの本のどこにインスピレーションを受けたか」をマーキングすることです。

私が本を読むときは、「漢字はいっさい使わない」「殴り書きする」がルールです。「これはどんな漢字だったかな?」と思い出す時間が無駄だからです。読み返したときに自分が理解できればいいのですから、ここで記憶力を浪費する必要はありません。

さらに私は、1回目に読むときは黒、2回目に読むときは赤で書き込みをしています。「最初に読んだときはスルーしたのに、次に読んだときはここが気になったんだな」といった意識の変遷を確認できるからです。

「読書を役立てる=内容を丸暗記する」と思っている人も多いのですが、私は「自分がどこに、どんなインスピレーションを感じたか」が重要だと考えます。

反復したときに、「黒の書き込みはないのに、赤の書き込みはある」という箇所があれば、「どうして1度目は気にならなかったのに、2度目は気になったのだろう?」と考えることで、同じ物事を多角的に見たり、俯瞰したりして、視野を広げることにつながるからです。

黒と赤の書き込みをたどることで得られる学びは、皆さんが思う以上に大きいと言えるでしょう。

また、こうした読み方をするためには、電子書籍よりも紙の書籍がお勧めです。電子書籍にも付箋やメモの機能はありますが、紙の本のページを折ったり書き込んだりするのと比べると、操作に手間がかかり、内容への集中力が削がれます。

本からインプットしたことをアウトプットして仕事に生かしたいなら、やはり紙の本がいいでしょう。ただし目的によっては、電子書籍が便利な場合もあります。

例えば、コミックは電子書籍向きのコンテンツです。漫画のセリフに書き込みはしないだろうし、何十巻あっても手軽に持ち運べます。私も『鬼滅の刃』はキンドル(Kindle)で一気読みしました。

内容を記憶して学びにすることが目的なら紙の本、純粋に楽しむことが目的なら電子書籍と、うまく使い分けるといいと思います。

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