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ウイルス拡散の温床?…中国の寿司屋で見た「日本人には考えられない衛生意識」

2020年02月26日 公開

西谷格(ノンフィクションライター)

西谷格

新型コロナウイルスが猛威ふるっている。感染源は調査中とされているが、湖北省武漢市江漢区に所在する生産市場の関係者から多数の感染者が報告されており、その関係に注目が集まっている。そもそも、中国人の衛生意識は、われわれ日本人とは異なるものなのか。

そこで、新著『ルポ デジタルチャイナ体験記』(PHPビジネス新書)発刊を控える西谷格氏が、上海の寿司店にアルバイトに扮して潜入。食品管理に関する驚愕の現場をレポートする。

*本稿は、2018年3月に発刊された『ルポ 中国「潜入バイト」日記』 (小学館新書)』の内容を抜粋・編集したものです。

 

「床に落ちた肉を捨てるのはもったいない」

もう何年か前の話になるが、中国のマクドナルドでチキンナゲットに腐った鶏肉が使われていたというニュースを覚えているだろうか。

青黒く変色した腐りかけの肉や床に落ちて汚れた状態の肉をそのままミンチに混ぜ、チキンナゲットにして出荷するというもので、ズサン極まりない中国の食品工場の実態に、多くの日本人が仰天した。

2014年夏に日本でニュースが報じられた際、私は問題となった食品工場「上海福喜食品」の従業員たちを現地で取材したが、彼らは

「工場の床は毎日ピカピカに掃除しているから大丈夫。最後は熱湯を掛け流しているんだよ」
「床に落ちた肉を捨てるのはもったいない」
「別に死ぬ訳ではない」

などとあっけらかんとした様子で答えており、問題の重大さがピンと来ていない様子だった。マニュアルでは床に落ちた肉は捨てる規則になっているとのことだったが、頭ではわかっていても、「もったいない」「大丈夫だろう」という気持ちの方が勝ってしまうらしい。

中国人の衛生感覚は、日本人とは根本的に異なるのではあるまいか。食品工場の従業員の話を聞いて、疑惑が確信へと変わっていった。工場にせっかく最新鋭の設備を取り寄せ、外国から技術者を招き入れても、現場で実際に手を動かす人々の感覚がズレていれば、こういう事件が起きてしまう。

腐敗肉のニュースが報じられた直後から、新聞やテレビでは現地情報を交えた詳細なレポートが報じられていた。私も何かやりたかったが、人と同じことをしても意味がない。

ならば一歩引いてほかと違う角度から、中国人の衛生感覚を伝えることができないか。日本との衛生観念のギャップを知ることで、中国の食品問題をより立体的に捉えることができるかもしれない。そんな思いから、中国現地の寿司屋で働いてみてはどうかと考えたわけである。

上海は寿司屋が意外と多い。中国の都市部に日本料理店は多数あり、中国資本の寿司チェーン店も少なくない。

ネットの求人サイトで「日本料理店」「寿司」などと検索ワードを打ち込んでみると、思った以上に多数の案件がヒット。住所を頼りに3~4軒の店舗を見に行き、その中でもっとも大きく、客の回転が良さそうなところを選ぶことにした。

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