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1年で最も冷え込む「寒」は何日間? “二十四節気”で味わう四季の変化

山下景子(文筆家)

2022年12月23日 公開 2023年06月14日 更新

 

「立夏」2023/5/6~5/20

●季節の象徴的なもの:薫風

いよいよ夏の始まりです。とはいえ気温はまだそれほど高くはなく、過ごしやすい時期です。ちょうど、新緑がまぶしい季節。そんな若葉の間を吹き抜けてくる風を薫風(くんぷう)といいます。

みずみずしい香りを運んでくるようで、心にも体にもよさそうな風です。この時期は、できるだけ緑の多い場所で過ごしたいですね。立夏の初日は、「こどもの日」と重なることも多いのですが、こいのぼりも薫風に吹かれていきいきと泳いでいます。

 

「小満」2023/5/21~6/5

●季節の象徴的なもの:夏山

小満(しょうまん)の本来の意味は、麦の穂が少し満ちてきたことだといいます。実際、麦の穂が熟してくる季節です。いつしか、麦だけでなく、万物が生長して天地に満ち始める時期と解釈されるようになりました。

特にこの時期の植物の勢いは、目を見張るものがあります。ぐんぐん葉を茂らせ、新緑から深緑へ。「青葉は目の薬」「夏山は目の薬」などといいます。滴るような緑におおわれた山山を見るだけで、目の疲れが癒されるようですね。

 

「芒種」2023/6/6~6/20

●季節の象徴的なもの:早苗田

イネ科の植物に特有の、穂先から出ている細い毛を芒(のぎ)といいます。芒種(ぼうしゅ)は、そんな芒のある穀物の種をまく時期という意味です。古代、田んぼに稲を直まきしていた頃は、この時期に種をまいていたのでしょう。

ですが日本では、古くから田植えの目安とされてきました。田植えを終えたばかりの田んぼは、早苗田(さなえだ)とか植田といいます。やわらかな緑の苗が頼りなげに揺れている早苗田。水面には梅雨入り間近の空が映っています。

 

「夏至」2023/6/21~7/6

●季節の象徴的なもの:紫陽花

1年で太陽が最も高い位置から照りつける日、そして昼が最も長い日です。いわば、太陽が一番元気な日といえます。とはいえ、梅雨の真っ最中のため、太陽の顔さえ見られない日が多いことでしょう。

そのかわりに、紫陽花の花が明るく照らしてくれます。今では多くの品種が見られるようになり、本来の移ろう色とあわせて、豊かな彩りを楽しめるようになりました。この時期は雨音がBGM。耳に心地よく響くといいですね。

 

山下景子
文筆家。兵庫県神戸市生まれ。武庫川女子短期大学国文科卒業。2005年、はじめての著書『美人の日本語』(幻冬舎文庫)が、26万部を超えるベストセラーに。『二十四節気と七十二候の季節手帖』(成美堂出版)、『万葉の鳥』(誠文堂新光社)など著書多数。

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