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オレンジペコーって何? 「紅茶を迷わず選ぶ」ための基礎知識

藤枝理子(ティースペシャリスト 、英国紅茶&アフタヌーンティー研究家)

2023年02月04日 公開 2023年02月06日 更新

専門用語が並ぶ紅茶のメニューを前に、「一体何を頼むのが正解なのか?」と頭を抱えた経験がある方も多いのではないでしょうか。 ティースペシャリストの藤枝理子さんが、悩まずに紅茶を選ぶための基礎知識を解説します。

※本稿は、藤枝理子著『仕事と人生に効く 教養としての紅茶』(PHP研究所)より、一部を抜粋・編集したものです。

 

紅茶を選んでみよう

ホテルのラウンジなどでメニューを開くと、ティーセレクションのページにズラリと並ぶ紅茶リスト。何をどう選べばいいのか「紅茶迷子状態」になってしまうかたは多いのではないでしょうか。 その日の気分や体調によって紅茶の種類をセレクトできれば、紅茶の世界が広がります。

そこで、誰でも簡単に紅茶をセレクトするために、最低限これだけは覚えておきたい知識をお伝えしておきます。

 

ベースとなるのは「産地銘柄」

まず、紅茶の茶簞笥をイメージしてみてください。

そこには、3つの引き出しがついています。1段目が「産地銘柄」、2段目が「ブレンドティー」、3段目が「フレーバードティー」です。

最初にインプットしたいのが、「産地銘柄」です。

紅茶の種類は何千、何万ともいわれますが、すべてのベースとなるのが産地銘柄。

日本茶でいえば、宇治茶、狭山茶のように、栽培産地がそのまま銘柄になったもので、ダージリン(インド)・ウバ(スリランカ)・キーマン(中国)の三大銘茶は、個性も含めて覚えておきたいところです。

この産地銘柄をベースにして、数種類の茶葉を配合した紅茶を「ブレンドティー」、香りづけをした紅茶を「フレーバードティー」といいます。

紅茶専門店のマリアージュ・フレールは「世界35か国600種類の茶葉を扱う」と謳うだけあり、そのティーリストはまるで一冊のお茶辞典。

ページをめくると圧倒される数の銘柄が並びますが、どのお茶も必ず「3つの引き出し」のいずれかに分類できます。

 

「グレード」を知れば更に深く楽しめる

次に、知るべきは「グレード」です。

銘柄の横に暗号のようなアルファベットが並んでいたら、それが紅茶のグレード。

グレードは日本語で表すと「等級分類」、茶葉の形状やサイズを表します。

「オレンジペコー」という言葉を聞いたことがありませんか?

昭和の時代に流行したトワイニングのオレンジ缶のイメージから、オレンジの香りのするフレーバードティーと勘違いするかたや、ダージリンやキーマンなどと同じく産地銘柄のひとつと誤解するかたが多い“謎に包まれた紅茶”でもありますが、実はオレンジペコーは紅茶用語で「グレード」を表す言葉です。

紅茶は大別すると、1㎝前後の大きな茶葉OP(OrangePekoe、オレンジ・ペコー)、2〜3㎜にカットしたBOP(BrokenOrangePekoe、ブロークン・オレンジ・ペコー)、1〜2㎜にカットしたBOPF(BrokenOrangePekoeFannings、ブロークン・オレンジペコー・ファニングス)、さらに細かくカットしたD(Dust、 ダスト)とグレーディングされます。

茶葉のサイズによって、いれる際の蒸らし時間が異なるので、目安になっているのです。

そして、チップ(生葉の先端にある葉が開き切っていない状態の芯芽)が多く含まれる茶葉にはTippy、そのチップが金・銀色ならGolden、さらに上質な茶葉にはSpecialやFinestという形容詞が添えられていきます。

例えば、
【CASTLETON/2022-DJ123/SECOND FLUSH/FTGFOP】
のラベルを読み解くと、
・ インド ダージリン地方 キャッスルトン茶園 2022年セカンドフラッシュ(夏摘み)
・ グレードFinestTippyGoldenFloweryOrangePekoe(1㎝前後のよく撚れた針状で白いうぶ毛に覆われた芯芽を多く含む上質な茶葉)
という意味になります。

グレードはワインでいえばラベルのようなもので、これを読み解けるようになると紅茶の世界はさらに奥深いものになります。

ミルクティーが飲みたい時、レモンティーが飲みたい時、シチュエーションによって適したグレードをセレクトできるようになれば、もう迷うことはありません。

 

メニューにある「オレンジペコー」はどんな味?

そもそも、可愛らしい響きの「ペコー」という言葉の由来は中国語です。

中国の古典銘茶のひとつに銀針白毫という献上茶がありました。

18世紀、この銘茶は英国の王侯貴族たちの間で珍重され、中国語の発音の「白毫(pak-ho)」が英国人にはペコーと聞こえたことから、ペコー=高級茶というイメージが広がりました。

19世紀、発酵度が高いお茶が人気となり、輝くような橙色の水色を引き出す上質なリーフティーのことを「オレンジペコー」と呼ぶようになったのです。20世紀、その名称はブレンドティーの商品名として使用されるようになりました。

セイロンティーのブレンドがメインですが、ブランドによって違いがあり、ややこしいことに、必ずしもOPタイプの茶葉が入っているわけではありません。イメージ戦略に乗って世界中に広まったお茶の代名詞です。

誤解されやすい茶葉ですが、オレンジペコーはフレーバードティーではないのでご注意を。

 

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