「どうしてうまくいかないんだろう」「失敗したらどうしよう」など、深く考えれば考えるほど不安や悩みは大きく膨らんでしまうもの。その不安に押しつぶされないために、心とどのようにして向き合えばいいのでしょうか。
不安専門カウンセラーの柳川由美子さんに、心を守るためにできる考え方やセルフケアについて話を聞きました。
※本稿は『PHPスペシャル』 2023年3月号より抜粋・編集したものです
不安はあなたを守るためのアラーム
過去に起こったことを後悔したり、まだ起こってもいないことを心配したり。私たちは、多かれ少なかれ不安を感じながら生きています。でも、私たちが不安を感じるのは、ごく自然なこと。なぜなら、不安は人の遺伝子に組み込まれた感情だからです。
私たちの祖先が原始的な生活をしていた頃、命を脅かす獰猛な動物から身を守るためには、不安という感情が必要でした。つまり、不安は危機管理のために人に備わった感情、あなたを危険から守ってくれる大切なアラームなのです。
そうは言っても、過剰な不安は、やはりつらいですよね。不安を感じすぎると日常生活に影響し、うつなどの精神疾患につながることもあります。そうならないためにも、不安をうまくコントロールしていくことが必要です。
否定せず、受け入れることから
コントロールの基本は「I’m OK!」。自分にOKを出すこと、つまり、自己肯定です。不安を感じたら、まずは「こんなときは不安になって当たり前」と不安を感じる自分を受け入れましょう。
けっして「自分はダメな人間」などと思わないでください。そして、自分をいたわる言葉や行為で自分をケアしていけば、不安は案外簡単に手放すことができます。
また、心と体はつながっているので、体がリラックスできれば、不安も和らぎます。自分なりのリラックス法を見つけて習慣にすることも、不安解消には大切です。
なぜ、不安が膨らむのか
閉じた円を「気持ちが安定した状態」、欠けている部分を「不安」としましょう。私たちは、本能的に欠けている部分(不安)が気になるため、なんとか不安をなくして円を閉じたいと思います。
でも、そこに落とし穴があります。不安をなくそうと意識すればするほど、不安にエネルギーが注がれ、逆に不安が膨らんでしまうのです。
不安を減らすには、線のつながっている部分(自分が持っているもの・良いところ)に注目することが必要です。そうすれば自然と線が伸びて、欠けた部分がつながります。結果、不安が消滅して、気持ちが安定するのです。