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悩みは全て思い込み? 医師が考える「最強メンタル」の持ち主

飯塚浩(メディカルストレスケア飯塚クリニック院長)

2022年08月31日 公開

悩みが絶えず、不安な状態の人は、どうしたら幸せになれるのでしょうか。メディカルストレスケア飯塚クリニック院長の飯塚浩氏は、思い込みを解くことが重要だと語ります。「強いメンタル」を作るテクニックを紹介します。

※本稿は、飯塚浩著『小さな町の精神科の名医が教えるメンタルを強くする食習慣』(アチーブメント出版)より、内容を一部を抜粋・編集したものです。

 

最強のメンタルとは何か?         

一般的に「メンタルが強い」とは、歯を食いしばってがんばっているようなイメージです。わたしからすると、それは「嫌なことを我慢してできてしまう人」に見えます。でも、その状態をずっと維持できることがほんとうに幸せでしょうか?

無理をしてストレス反応系に負担をかけていては、HPA軸、SAM軸の過剰活動が繰り返され、モノアミン系の神経伝達物質にアンバランスが生じます。

リラックスできなくなる。眠れなくなる。意欲がなくなる。落ち着かなくなる。この段階まできて、私たちはようやく「調子がよくない...」と自覚します。

真のメンタルの強さとは、安定しているということです。安定性があるからストレスに打ち勝つより、早くラクにする手段を取れる。つらいことを続けるよりも快適になる対策を取れる。

考えるときの出だしも結論も「わたしってすごくいいね!」と設定することを決意しておくとよいでしょう。

大事なことは決意することであって根拠を作ることではありません。根拠を求めるから人と比較したりして悩むのです。そうできるように日々練習すると体もメンタルもきっと安定していきます。

そのためには、自分の気持ちが軽くなる人と一緒にいたり、そういう場所に身を置いたりすることです。自分好みの景色や部屋、衣服、食事、音楽などを自分に与えていき、好みではないものは排除していくことです。

つまり、自分にやさしくしてあげることです。そして、自分がやさしくしたい相手に対しても、とことんやさしくしてあげたらいのです。

 

現代人は休む練習が必要

リラックスできない、うまく休めていないから、うまく動けない。これがある一定の線を越えると普通なら休めるはずの環境でも休めなくなります。普通の疲労とうつの違いはこの点です。

休むのにも練習が必要な現代人がたくさんいます。何かしていないと落ち着かない、休めないと訴えます。休むとは家でじっとしていることだけではなく、気持ちのよいものに気づく、意識を向けるということです。

「いい天気だな」「お花がきれいだな」「風が気持ちいいな」など、心地いいものに意識が向くようになると休めてきます。休めてくると、ますます心地いいものに意識が向くようになります。

それがユーチューブ動画やゲームなどでもよいのですが、往々にしてそういったものにはテンションを無理矢理上げるような仕掛けがたくさんあるので、何時間も見たり、続けているとくたびれてきます。心地がよくても依存性があるようなものは、なるべく排除してください。

依存性とは、それをしていることが快感になって止まらなくなってしまうことです。お酒があるから生きていけるといった、「これさえあればなんとかなる」という感覚は黄色信号です。

甘いもの、ギャンブル、買い物、他人...何に依存しやすいかは人それぞれ異なります。まずいなと感じたら、依存性のあるものには近づかないのがベストです。

次に休まる方法として繰り返しになりますが、嫌なことはしないということです。私自身、からだがそんなに強くないこともあり、昔から無理が利きませんでした。力技でどうするかではなく、できるだけ雑音を排除するようにしてきました。

たとえばパソコン作業にしてもそれだけしかできない環境へ行く。疲れる前に作業を止めて、海を見に行ったり、温泉に入ったり、クラシック音楽を聴いたり、全然違う本を読んだり、いろんなことを満喫しています。

しかし、スマホをいじってユーチューブ動画を見たり、ネットサーフィンをするようなことはありません。そのときは楽しいのですが、疲れてしまうからです。

感覚に意識を向け、それを味わうことでリラックスができるようになります。「おいしいな」「気持ちいいな」と感じられることをしましょう。心もからだも休まっていきます。

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思い込みを解くと、悩みは無くなる

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