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汗をかく運動には注意? 「慢性疲労」の原因になる意外な習慣

中根一(鍼灸師)

2023年11月24日 公開 2024年12月16日 更新

汗をたくさんかく運動やホットヨガなど、健康のために良かれと思ってしていた習慣が、実は「慢性的な疲労」を生む原因になっているかもしれません。なかなか解消されない疲れを取り払うには、どうしたらいいのでしょうか? 鍼灸師の中根一さんが解説します。

※本記事は中根一著『寝てもとれない疲れをとる本』(PHP文庫)の内容を一部抜粋したものです。

 

なぜ栄養ドリンクでは、疲れを回復できないのか

東洋医学には「陰陽」という考え方があります。簡単にいえば、多くの物事は対比することでバランスを保っている、という考え方です。その、人体における理想的なバランスは、「陰≧陽」というかたち。「陰主陽従──陰が主となり、陽がそれに従うのがいい」という発想です。

「陰」とは、休息のこと。「陽」とは、活動のこと。「休息」あってこその「活動」である。言い換えれば、質のよい活動をするためには、きちんと休息をとることが大切なのです。

一方、疲労は、「陰<陽」の状態が続いた後に生じます。ただし、活動的に過ごしていると、「陽」のエネルギーが前借り状態になるため、体を疲れさせているという実感はありません。このような状態を「陽実(ようじつ)」といいます。

その後、適切な休息(養生)をとることで体はバランスを取り戻し、また「陰主陽従」のかたちに戻ってくることができます。

しかし、このときに休息が足りなかったり、その質が悪かったりすると、陰を補うことができません。このように陰陽バランスが戻らない状態は「陰虚」と呼ばれ、東洋医学では避けるべき事柄として捉えられています。

 陽実は、「頑張って疲れたけれど、まだまだ平気!」。まだ年齢が若かったり、基礎体力が旺盛だったりする人はこのパターン。

陰虚は、「上手に休息をとらないと、いつまで経っても疲れが抜けない」というタイプです。老化が始まっていたり、忙しすぎて休息が不十分だったり、大病や慢性疾患があって基礎体力が落ちている人は、このパターンに該当します。

栄養ドリンクは、疲れている体に「陽」をチャージすることで一時的に「陽実」にさせて、もうひと踏ん張りさせるものです。無理をきかせて仕事はできますが、疲労そのものは回復しているわけではありません。そう、「エネルギーをチャージしても、疲れはとれていない」のです。

疲れた体に栄養ドリンクを足せば、「元気になった感じ」はするかもしれませんが、元気を前借したツケは必ず支払うことになります。

 残念ながら特定の食べ物や運動を追加しても、「疲労回復」や「疲れない体づくり」にはつながりにくいもの。ですから、疲労解消のためには、疲労を溜め込まないコンディション(陰陽バランス)に整えるしかありません。そしてそのためには、まずはきちんと休息をとり、陰を補う必要があるのです。

 

リラックスのしすぎが「疲れやすい体」をつくる!?

休み上手になるためには、活動上手になることも大切です。「活動と休息のバランス(=陰陽のバランス)が大事」というポイントは、つねに意識しておいてください。

「休息は大事」といえど、とりすぎれば、それが新たな疲労感のもとになってしまいます。

「寝溜めをしようと一日中寝ていたら、頭が痛くなった......」

こんな覚えはありませんか? 休息をとりすぎると副交感神経が働きすぎてしまい、脳に栄養を送っている血管が広がって神経を圧迫してしまうからなのです。それなのに、「回復させるために、もっと寝よう」と横になったら、ますます体はだるくなる一方です。

休日にどれだけ眠っても、「寝溜め」はできません。休んだことでかえってだるくなってしまった場合には、逆にしっかりと運動をして交感神経を優位にし、体を活動モードにスイッチしてからきちんと休むと、疲労感はスッキリ解消するでしょう。

「仮眠」も、欲張って30分を超えてとると、起き抜けがツラいものに変わります。脳が本格的な「睡眠モード(=ノンレム睡眠)」に入ってしまうため、起きるときにはあたかも「睡眠不足なのにたたき起こされた」ような状態になってしまって、逆に頭がぼんやりするのです。

仮眠を効果的に活用するためには、目覚まし時計を15分後にセットすることをお忘れなく。そして、仮眠前にコーヒーや緑茶を飲んでおくのもよい方法です。カフェインは摂取してから約30分後に効き始めるので、その覚醒効果によってシャキッと再スタートすることができるでしょう。

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なぜ「汗をかきすぎる運動」が慢性疲労を生み出すのか

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