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「心に刺さるコメント術」 コメントは事前に用意するな!

おちまさと(プロデューサー)

2012年07月19日 公開 2024年12月16日 更新

何だろう、このざわざわする感じ。言いたいことはあるんだけど、言語化できないモヤモヤ感。

このようなじれったい感情を「ピタッと」コメントで表現することができたら、相手との会話や会議のなかで一目置かれる存在になれるのではないだろうか。

プロデューサーである、おちまさと氏は「刺さる」コメントの仕方について、著書『とっさのひと言で心に刺さるコメント術』にて解説している。

※本稿は、おちまさと著『とっさのひと言で心に刺さるコメント術』(PHP新書)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

そのコメント、「刺さって」ますか?

 いいコメントとは、いったいどんなものを指すのでしょうか。

ブログやツイッターをやっていると、「今日のコメント、刺さりました」という反応をもらうことがときどきあります。

「なるほど!」の腹落ち感や、「そのとおり!」の共感、不思議とモチベーションが上がる感じ……。この「刺さる」は、いろいろな感情がこめられた言葉です。

なかでも、いちばん「刺さる」を使いたくなるのが、「そうそう、それが言いたかったんだよ」と、思わず膝を叩きたくなるようなコメントを読んだり聞いたりしたときではないでしょうか。

相次ぐ無差別殺人に、いっこうに上向かない景気、何も変わらない政治家たち……世の中のさまざまな出来事に対して、だれもが違和感を強めているはずです。

「いまの世の中おかしーんだよ!」
「さっきのあいつの態度、気に食わねー!」

たんなる怒りや否定では、声が大きければ大きいほど、伝わるものも伝わらない。豊富な経験やボキャブラリー、映像が浮かぶような視点や巧みな比喩など、多くの才能が要求されるだけに、違和感を言語化すること、それも、ふつうのトーンで懇切丁寧に説明することは、とても難しい作業です。

何だろう、このざわざわする感じ。
言いたいことはあるんだけど、言語化できないモヤモヤ感。
うすうす感じてはいるんだけど、うまく言えない。
ああ、ここまで出てるんだけどなあ……。

こんなじれったさを、みごとな表現力でうまく代弁してくれたときのスカッとした爽快感。多くの人がそんなコメントに刺さり、「そう、それ!」と言いたくなるのだと思います。

「あの人はいつもいいこと言うなあ」
「やっぱり彼の言うことはひと味違うよね」

そんなふうに周囲から一目置かれるような「刺さる」コメントを発するには、どんな技術が必要なのでしょう。その答えを、少しずつ解き明かしていけたらと思います。

 

事前に用意するほど「想定外」のリスクは高まる

大事な会議や飲み会の前日に、「明日は何を話そうか。どんなことを言えばウケるだろう?」などと、自分のコメントを綿密に考えてはいませんか。脚本でも書くように台詞の形にしてノートに書いて練習しないと気がすまない……。なかには、そんな心配性の人もいるかもしれません。

たしかに、多くのビジネス書にはこう記されています。

「コメントは、事前にしっかり用意しましょう」

けれども、ぼくの考えは真逆です。コメントは事前に用意するな。もっといえば、用意することをやめただけで、いまのあなたのままでも、コメント力はアップするとさえ思っているのです。

もちろん、まったく準備がいらないわけではありません。たとえば、自分のプロジェクトが開発した新商品の発表会見などというときには、「この商品のアピールポイントはここ」と自分のなかで確認しておく作業は必要でしょう。

ただし、事前にやっていいのはその程度。「ここで一発、ギャグを入れる」などと、その内容まで練って原稿にまとめ、さらにはそれを暗記するなどもってのほかです。

時間は、絶え間なく移り変わっています。東北を襲った東日本大震災の悲劇を思い出してください。2011年3月11日14時45分と14時46分は、わずか1分の違いなのに、その1分で世界は激変してしまった……。昨日と同じ明日などないのです。

少し大げさかもしれませんが、変化は日常茶飯事です。昨日のギャグが今日スベる可能性は十分にあります。また、いるはずだった人が一人欠席しただけでも、その場の空気は変わりますし、あなたの順番が来る前に、だれかが同じようなコメントをしてしまうことだってある。思った以上にあがってしまい、暗記した内容がすべて吹っ飛んでしまうなどという事態も大いにありがちです。

結婚式のスピーチで頭が真っ白になって絶句してしまう人、見たことありませんか。いい話をしたい気持ちはわかりますが、前日の夜中に書いた文章を一言一句違 〈たが〉 わずに覚えて話そうとするから、一瞬、言葉が詰まっただけで対応できなくなってしまう。

短いコメントなら、なおさらです。スピーチのように言いっぱなしではなく、相手からの予期せぬ質問や反応がありうる双方向の対話なのですから。

つまり、用意すればするほど「想定外」のリスクを背負う確率が高くなるということなのです。

そんなリスクから解き放たれただけでも、あなたは自由。少々言葉をつっかえたり言い間違えたりしても、そのほうが人間的で好感がもてるというものです。立て板に水のごとくベラベラ話す人の言葉より、「よし聞いてやろう」と相手の心を引きつけることができるのです。

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コンセプトさえ決めておけばスラスラ言える

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