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生き方

公認心理師が語る「ストレスに弱い人・強い人」の違い

舟木彩乃(公認心理師)

2023年12月22日 公開 2024年12月16日 更新

 

処理可能感とは?

次に「処理可能感」です。

処理可能感は、自分にふりかかるストレスや障害を、"資源"を活用することで「対処できる」「なんとかなる」と思うことのできる感覚です。この「資源」には、人脈や知力、お金、権力、地位などがあります。

例えば、仕事で大きなアクシデントにあったときでも、「助けてください」と言える上司がいたり、慰めてくれてアドバイスをくれたりする同僚がいる場合は、「なんとかなる」と思えるものです。こうした人間関係・人脈が「資源」にあたります。

また「知力」も大きな資源です。仕事でアクシデントがあり法的な問題が生じかねない場面では、法律の知識がある人とない人とでは「なんとなかる」と思える感覚に差が出るでしょう。人に聞いたり本を読んだりして「学ぶ」ことで、困難を乗り越えられることもあります。

お金も「資源」のひとつです。突然、勤めている会社が倒産して職を失った場合、貯金が0円の場合は「どうしよう!」とパニックになりますが、1千万円の貯金があったとしたら、「しかたない。よし、自分に合う会社を見つけよう」と余裕をもてるのではないでしょうか。

この処理可能感は、大きすぎず小さすぎず、バランスがとれた適度な課題を与えられクリアしていくことで得られる「成功体験」により高められるとされています。

人脈や知力、お金などの資源を活用して、目の前の困難や課題をクリアしたことで身につくのが処理可能感なのです。

 

有意味感とは?

最後は「有意味感」です。

これは、「自分の身に起こるどんな出来事にも意味がある」と思える感覚、確信になります。

例えば、仕事量も多く、きつい仕事をしているときに、「なんの意味があるのか」と思っている人と、「これはお客様のためになる意味のある仕事だ」と思っている人とでは、仕事への取り組み方や心のありように大きな違いが出てきます。

あるいは、大きなピンチが起きたときに、「これを乗り越えたら、私は成長できる」と、それを「意味のあるもの」と思うことができれば、乗り越える力がわいてくるはずです。

「神様は乗り越えられる試練しか与えない」とはよく言われる言葉ですが、これに近いイメージかもしれません。目の前の試練には「意味がある」と確信する。この確信こそが、有意味感といっていいでしょう。

この有意味感は、好ましい結果が得られたことに自分自身も参加・参与したという人生経験を通して高められるとされています。

「好ましい結果」とは、例えば、「職場でプレゼンがうまくいって大きな案件を受注した」などのよい結果です。

その結果に対して、「プレゼンに自分の意見が採用された」「プレゼンの資料を作った」、あるいは「プレゼンで発表を担当した」など、人それぞれの役割ごとに「役に立った」という経験をもてれば、「有意味感」が高まっていくとされています。

つまり、プレゼンの成功に貢献したという経験のなかで、「私のいる意味があった」「私もお役に立てた」と思える経験といえばいいでしょうか。

こうした人生経験を通して培われるのが「有意味感」だといわれています。

 

著者紹介

舟木彩乃(ふなき・あやの)

ストレスマネジメント専門家

公認心理師・精神保健福祉士。博士(ヒューマン・ケア科学/筑波大学大学院博士課程修了)。博士論文の研究テーマは「国会議員秘書のストレスに関する研究」。メンタルシンクタンク(筑波大学発ベンチャー)副社長。文理シナジー学会監事。企業広報ネットワーク理事。AIカウンセリング「ストレスマネジメント支援システム」発明(特許取得済み)。カウンセラーとして約1万人の相談に対応し、中央官庁や地方自治体のメンタルヘルス対策に携わる。Yahoo!ニュースエキスパートオーサーとして「職場の心理学」をテーマにした記事、コメントを発信中。著書に『なんとかなると思えるレッスン』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『発達障害グレーゾーンの部下たち』(SBクリエイティブ新書)、『あなたの職場を憂鬱にする人たち』(集英社インターナショナル新書)等がある。
https://x.com/funakiayano
@funakiayano

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