元カレとお揃いのグラスを重機で破壊! 「想い出の解体工事」を体験してみた
2024年02月09日 公開 2024年02月13日 更新
昔の恋人と使っていた食器、貰ったプレゼント...いつか捨てなきゃと思いつつも処分できない...。過去への未練を断ち切れずに、いまも立ち止まったままになっていませんか?
そんな悩みを抱える人が新たな一歩を踏み出すために、「想い出の品」を自ら"重機"で解体するイベント『想い出の解体工事現場』が2024年2月8日(木)、2月13日(火)、2月14日(水)の3日間で、実験型未来共創スペース「マイラボ渋谷」にて開催されます。(※事前予約制。申し込み締切済み)
本稿では、PHPオンライン編集部が解体工事を実際に体験! そしてイベントを主催した株式会社オプテージ、そしてメンタルコーチの増田篤紀さんにお話しを伺いました。
想い出のグラスを解体...!
↑マイラボ渋谷に設置されたショベルカーの操縦席。機材はすべて、建設機械の遠隔操作のソリューションを開発・提供するARAV株式会社のもの。
解体工事は、マイラボ渋谷の操縦席から、千葉県ARAVテストフィールドのショベルカーを遠隔操作して「想い出の品」を砕いたり潰していきます!
基本的な操作方法はスタッフの方にレクチャーしていただきながら進めます。操縦席は本格的で、実際にショベルカーに乗って動かしている気分です。
↑安全のために(?)、ヘルメットを被っていざ解体工事へ!
今回は編集部の小林が長年元カレと一緒に使用していたグラスを解体させて貰うことになりました。
元カレとの想い出が詰まりに詰まって、いい加減処分しようと思っても捨てられずに何年も食器棚に眠っていたグラス...。数年分の重い記憶が詰まった「いわくつきのグラス」です。
↑事前に千葉県ARAVテストフィールドに送っていた"いわくつきグラス"
数年分の元カレとの想い出に別れを告げるべく、操縦席のレバーを少しずつ前へ、前へと押し進めます。
商店街のこじゃれた食器店で見つけておそろいで購入したグラス。新卒の内定祝いにシャンパンを注いで乾杯したり、二人で旅行した軽井沢で買ったりんごジュースを入れて"ジュースを入れるのも綺麗だね"なんて笑いあったよね...。
あの頃の記憶が走馬灯のように頭をかけめぐります。
↑いざ、解体!!!
ショベルカーをグラスの前まで移動させて、アームを振り上げます。そしてグラスの真上から思い切りよくレバーを押し倒すと「ぐしゃっ!」。グラスがいとも簡単に潰れました...!
「こんな想い出が詰まったもの、絶対壊せないよ!」そう思っていたはずなのに...遠隔で解体作業を行えるためか心理的負担はとても軽く、むしろ重機で潰す作業に快感すら感じます...。
見るも無残に砕かれたグラスに、達成感がこみ上げてきました。スタッフの方からも拍手を送られ、嬉しい気持ちに...。
バイバイ、まさひろくん(仮)。私やっと前に進めそうな気がするよ!
粉々に想い出を解体したあと、晴れやかな気分で渋谷の街を後にしました。
メンタルの切り替えに有効な「破壊セラピー」
メンタルコーチの増田篤紀さんに「想い出を解体する心理的作用」についてお話をうかがいました。
――過去の想い出を引きずってしまうのは何故なのでしょう?
人が過去の想い出を引きずってしまう理由は主に2つ。
1つ目は僕たちは無意識のうちに比較してしまうためです。誰かと比較して幸せを感じられないときに他者と比較してしまうのと同じように、自分の幸せだった過去と現在も比べようとします。
2つ目の理由は現状に満足していないから過去を引きずってしまう、という理由。脳の特徴としていまないものにフォーカスしてしまいがちだという特徴があります。
"いま"ないことを意識してしまうとき、"過去に"あったことへの執着が生まれ、あのときはよかったという感情のギャップがメンタル状態にマイナスの影響を与えます。
――今回のイベントのように、想い出の品を破壊する"破壊セラピー"は、どのような種類のストレスに有効ですか?
イライラしてものに当たる、という言葉があるくらいイライラするとものを破壊したいという衝動に駆られることがあります。一般的にやってはいけないとされていることをやってしまいたくなる状態というのは感情のコントロールがうまくできていないときです。
イライラやモヤモヤでうまく感情のコントロールが効かないな...と実感があるくらいストレスレベルが高まっているときは破壊行動という非日常な体験を通して、気持ちを解放することでメンタルの切り替えに期待ができます。
――効果は一時的になりそうですが...実際どうなのでしょう?
人によって効果が一時的になってしまうケースも当然あるとは思いますが、非日常の体験や経験というのは脳に強く残ります。脳が長期保存する体験は強い感情が伴った体験です。破壊という行動自体が気持ちが晴れてスッキリするという感動体験につながれば長期的な効果も見込めると思います。
――とはいえ、日常生活では破壊のハードルは高いように思います。身近に同じ効果を感じられる行為はありますか?
断捨離という言葉が一般化してきているようにものを手放すことが手軽にできるストレス軽減の手段でおすすめです。物理的な整理は心の整理にも効果的で、執着から解放されるような感覚をもたらしてくれます。
――つらい記憶を引きずってしまう人へのアドバイスなどありますか?
いまに目を向けていきましょう! とエールを贈りたいです。僕たちはどうしても "ないもの"に目が行きがちです。自分にはないものを持っている他者や、いまないものを持っていた過去など。
ストレスがかかるときはどんなときかというとコントロールできないものを、コントロールしようとするときです。他者や過去はコントロールできません。
コントロールできることはいまの自分。いまの自分の行動で未来は変えていけるという事実に向きあいながら一歩ずつ未来を切り拓くための行動を積み重ねてみてください。
そして、いま手に入れているものが必ずあるはずです。普段当たり前のように感じている平和や健康、親しい友人や支えてくれている家族など。身近にあるものに目を向けながら幸せを味わってみてください。
「遠隔重機」が果たしている役割
最後に、株式会社オプテージの林さんに本イベントの企画意図、そしてARAV株式会社によって開発・提供された遠隔重機についてお話を聞きしました。
――今回のイベントはどのような経緯で企画されたのでしょうか?
このイベントでは遠隔操作にフォーカスを当てています。5G時代の現代では、これから色々なものが遠隔で操作できるようになっていきます。そこで、一般のお客様が遠隔でどんなサービスがあったら嬉しいのかという部分を探るべく、実際に遠隔重機に触れてもらって思いを巡らせていただきたいという思いがあり、イベントを実施することになりました。
――初めて重機を操作しましたが、遠隔でもここまでスムーズに動かすことができると思っていませんでした。
今回のイベントで使用した遠隔重機は、建設現場で実用化されているものです。建設業界は人手不足の問題が深刻化しており、こういった遠隔操作の技術が活用されてきているんです。遠隔操作ではmineo(マイネオ)の回線を使用していますが、ほとんどラグも気にならず操作ができるようになっています。