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手書きをすると自律神経が整う...医師がおすすめする「3行日記」とは?

小林弘幸(順天堂大学医学部教授)

2025年01月28日 公開

順天堂大学医学部教授の小林弘幸さんは、手書きで日記をつけることで"自律神経が整う"と語ります。心身に良い影響を与える「3行日記」の書き方について、書籍『老いが逃げていく10の習慣』よりご紹介します。

※本稿は、小林弘幸著『老いが逃げていく10の習慣』(講談社)の一部を再編集したものです。

 

「3行日記」で心と頭を整理する

必要なものはノートとペンです。どんなものでもけっこうですが、できれば毎日使いたくなるようなお気に入りのものを用意してください。寝る前に書いていただきたいので、寝室に置くとよいでしょう。

寝室にお気に入りのものが一つでもあることは、心の安定や自律神経を整えること、睡眠の質を高めることにもつながります。これは、枕でもタオルでも花でも絵でもぬいぐるみでも、何でも結構です。ただ、ノートとペンがお気に入りなら、「3行日記」も習慣化しやすくなると思います。

では実際の書き方ですが、書くのは3行だけです。

1行目 よくなかったこと

今日一日の中でうまくいかなかったことや、嫌だと感じたことなどを書きましょう。「どうも体調がいまいちだった」「忘れ物をして困った」など、細かいことでもけっこうです。

2行目 よかったこと

今日一日の中でうまくいったこと、感動したこと、うれしかったこと、成功したことを書きましょう。「庭にきれいな花が咲いていた」「たまたまスーパーの特売で牛肉を安く買えた」など、細かいことでもけっこうです。そのとき、なぜうれしくなったか、感動したのか、理由も書いてみましょう。

3行目 明日の目標

明日目標にしたいことを書きましょう。思いつかなければ、「明日は駅前のカフェに行く」などやりたいことでもけっこうです。

次に、「3行日記」の効果を高めるためのポイントをご紹介します。

① 寝る前に書く:翌日のモチベーションを高め、睡眠導入の儀式にもなります。
② 日付と曜日を書く:毎日書くことで、大切な記録になります。
③ 一人で書く:一人の時間を確保して、落ち着いてふり返ると気づきも増えます。
④ 簡潔に書く:長く書く必要はありません。簡潔に書くことが継続につながります。
⑤ ゆっくり丁寧に書く:呼吸が深くなり、自律神経が整います。

 

記録することで自律神経が整う

「3行日記」がよい理由はいろいろあります。まず1行目によくないことを書くことで「なぜこういうことが起きたのだろう?」と原因やパターンを客観的に確認し、悪い流れを食い止めることができます。

次に2行目でうまくいったことを書くことで、心をおだやかな状態に保ち副交感神経優位になります。

最後に3行目に明日の目標を書くことで、それが眠りにつく前の頭の中に自動的に刻まれ、翌朝のモチベーションになります。よくなかったことから、よかったこと、目標と書き進めることで、すっきりと穏やかな気持ちで眠りにつくことができるのです。

また、書くという手先の作業に集中することも、気持ちの高ぶりを抑えてくれるので、副交感神経優位になります。ノートに手書きで書いていくと、続ければ続けるほどノートが文字で埋まっていきます。それを見るだけでも、「こんなに続けてこられたのか」という達成感が生まれます。達成感を感じると安心して自信が持てるので、リラックスして副交感神経が優位になります。

1行目の「よくなかったこと」は、自分が何にストレスを感じたのかを知ることにも役立ちます。毎日くり返すことで記録がたまっていけば、どういうことにストレスを感じやすいのか、自分のストレスの傾向が分かります。また、あとになって見返してみると、今ならまったく気にならないようなことも出てきます。「このころはこんな些細なことを気にしていたのか?」と思うこともあり、自分自身の成長に気づくこともあります。

2行目の「よかったこと」は、あとになって見返して追体験することで、気持ちが温かくなります。それだけでも副交感神経優位になります。

3行目の目標も、あとから見返すとすでに達成した目標も出てくるでしょう。前述のとおり、達成感は副交感神経優位にします。

そして、感謝の感情はすぐには生まれないこともあります。起きたことの本当の意味を理解するのに、時間がかかることもあるのです。

こんなことがあった、あんなことがあった、それを見返して追体験することではじめて感謝できることもあります。感謝をすると呼吸が深くなり、副交感神経優位になります。実は感謝ほど自律神経によい影響がある感情はありません。

 

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