「自分は他人に比べて運が悪い」「物事がうまくいかないのは運が悪いせいだ」、日頃そんな思いを抱えている人は多いのではないでしょうか?では、運を味方につけるためにはどうしたらよいのでしょうか? 株式会社新規開拓の代表で、人材教育のエキスパートである朝倉千恵子氏に話を聞きました。
※本稿は、朝倉千恵子著『運を整える。』(内外出版社)より、内容を一部抜粋・編集したものです。
自分で「自分の運」を整える
人生には良いときもあれば悪いときもあるように、運そのものにも「波」があります。
一度限りの二度はない人生。人生は長くもあり、そして同時にとても短くもあるのです。ただうずくまって、誰かに引き上げてもらうのを待っているなんて、もったいない! 目の前の課題や問題に立ち向かい、どうしようかと自分の頭で考えて、行動する。そうやって自分の人生の手綱を自分で握ることが、運を整え、強運を手に入れる第一歩だと私は思います。
これからご紹介するメソッドは、どれも心がけ一つで今日からできるものなので、ぜひ実践してみてください。
メソッド① 感謝の心を持つ
いつも良い運を引き寄せる人、いつも悪い運ばかり引き寄せる人。その違いは、感謝の心があるかどうかです。感謝の心の有無は日ごろの行動を見ればよくわかります。
我が社には、よくお客様から頂き物が届きます。頂き物は、必ず社員みんなで分けていますが、その反応にも大きな違いがあります。もらった直後に喜んだり、お礼を言ったりすることは誰でもできます。
しかし重要なのはその後です。毎回、必ず感想を添えて感謝のメッセージを送る人もいれば、もらいっぱなしで終わり、感想どころかお礼のメッセージすら忘れている人もいます。感謝の反対は「当たり前」。してもらって当たり前、ご馳走になって当たり前が癖になっていませんか?
また、自分にとってメリットがあること、自分が嬉しいことであれば、誰でも感謝することはできます。では耳の痛いフィードバックや、お客様からの手厳しいクレームに対してはどうでしょうか?
以前、接客業の方からこんな話を聞きました。
「面と向かって、お店で文句を言ってくれるお客様は、むしろ親切なお客様です。大半のお客様は、黙って去っていき、二度と戻ってきてはくれません」
そのように考えると、クレームも有難いものです。
また、耳の痛いフィードバックも実はとても貴重なのです。フィードバックを受けるのが怖い、という方も少なくありませんが、フィードバックをいただけるということは、あなたの未来に可能性があると思われている、ということです。フィードバックは、お叱りではなく、大切な気づきを与えてくれる「ギフト」です。有り難く頂戴し、受け入れ、自分の糧にしましょう。
はじめはなんとなく、わからないままでもかまいません。していただいたこと、身の回りにあることを"当たり前"だと思わずに、きちんと「ありがとうございます」と言葉に出す習慣をつけましょう。
どうすれば相手に感謝の心が伝わるかを考えて、伝え方も工夫してみてください。1日に10回「ありがとう」を伝えれば、1年で3650回。3年で約11000回にもなります。何千回、何万回の「ありがとう」を重ねていくうちに、気づけば、誰に対しても何に対しても、心から感謝できるようになります。
メソッド② 幸運を呼び込む言葉を使う
「口癖が人生をつくる」。以前そんなことを教えていただいたことがあります。自分が使っている言葉、自身が発している言葉、自己が語っている言葉によって環境が決まり、人生が構成されていきます。だからこそ、プラスの言葉を使うことがとても大切です。現象は同じでも、どのような言葉を使うかで、捉え方はまったく異なります。
言葉の癖、思考の癖を表す『Dの法則』 というものを考えてみました。
■マイナスのD
でも〜
だって〜
だけど〜
どうせ〜
こうした言葉の後に続くのは、すべて否定的でネガティブな言葉です。
「でも、そんなこと言われたってできない」
「だって、私には無理」
「だけど、やっぱり応援してくれる人がいないから」
「どうせ、私なんて」
そうやってすべてマイナスに引っ張られてしまいます。マイナスのDではなく、プラス思考につながる「スーパーD」を使いましょう。
■プラスのD=スーパーD
だからこそ!
この「だからこそ」という言葉を使うことで、ネガティブになりそうな思考を一気にプラスに転換することができるんです。「だからこそ、あなたができる最善を尽くしませんか?」「だからこそ、チャレンジしませんか?」など、現状を打破しより良い方向へ向かっていくためのつなぎとなる言葉です。
どんな言葉を選ぶかで、明るい気持ちになるか、暗い気持ちになるかも決まります。周囲を見ていても、常にプラスの言葉を発する人とマイナスの言葉を発する人では放っているオーラが違うことをあなたも感じるのではないでしょうか。
とはいえ誰もが、ときにネガティブな言葉を発してしまうことはあります。マイナス思考になってしまう日もあります。つい愚痴っぽくなってしまうこともあります。それに気づいたら、自分の言葉で上書きをすれば良いのです。
「~と思っていたけど、今日からはこうしよう!」
「~だからこそ頑張ろう!」
「〇〇さんのこと、嫌いだなんて言っちゃったけど、いいところもあるよね!」
最後はプラスの言葉で締めることを意識しましょう。
メソッド③ 自分は「運が良い」と思い込む
「あなたは運がいいですか?」と聞かれたとき、「はい! 私は運が良いです!」と明確に答えられますか? 今の状況がどうであれ、まずは、自分は運が良いと思い込んでください。運の良し悪しは目に見えるものでも、数値化できるものでもありませんので、どう考えるかは自分次第です。
パナソニック(旧:松下電気器具製作所)を創業し、世界的な大企業へと成長させた"経営の神様!松下幸之助さんが、採用面接で「あなたは運が良いですか?」と質問していたという話は有名ですね。そしてハッキリと「運が良い」と答えられた人しか採用しなかったといいます。
自分は運が良い、強運を持っていると確信していれば、どんなことも受け入れて立ち向かう勇気と力が生まれてきます。人から見ると決して運が良いとは思えない状態であっても、運が良いと思っていれば「これはきっと幸運のチャンスだろう」と、自分の糧にすることができます。
私は、肩書きも業種も年齢も性別も様々な、たくさんのビジネスパーソンにお会いしてきましたが「私は運が悪いんです」と言っている人で、成功している人を見たことはありません。なぜなら、運が悪いと思っている人は、無意識のうちに「運が悪い」人生を選択しているからです。
「自分は運が良い」。今日からそう信じてください。まだ自分を信じ切れない気持ちがあるのであれば、まずは1日1回、「自分は運が良い」と口に出して言ってみてください。言葉には言霊が宿ります。はじめはただ言っているだけだった言葉も、いつしか自分の中にすっかりと浸透していきます。
メソッド④ 口角を上げる
いつも明るい笑顔を絶やさない人は、自然に人も集まり、運も招き寄せる。
その反対に、いつもしけた顔をしている人は、運を逃してばかり。
そう語ったのは、私が観相学を教わった故・藤木相元先生です。観相学とは、目・鼻・口・耳・眉毛・唇・顎などのお顔のパーツからその人の運勢を読み解きます。手相があるように、お顔にも相があるのです。
観相学は統計学を基にした科学的アプローチで、脳と顔の因果関係を解明した学問です。脳が顔をつくり、顔が運をつくり、その運が人生を決めていく。これが私が学んだ観相学の基本となる考え方です。
いい顔のベースにあるのは、やはり「笑顔」です。笑顔は、たとえ言葉が通じなくても人を幸せにする力があります。いくつになっても可愛いと言われる人は、笑顔が素敵です。大人も子どもも関係なく、みんな笑顔が大好きです。
いつもニコニコして、誠実そうないい顔をしている人。ブスッとして不機嫌そうな顔をしている人。あなたならどちらと仲良くなりたいですか? もちろん笑顔の人ですよね。
笑顔が素敵な人は、愛嬌があり、人から好かれます。「好きな人のためになにかしたい」というのは自然な感情ですので、自然と良い運が集まってきます。口角上がれば運気が上がる、口角下がれば運気が下がる、と覚えておきましょう。
メソッド⑤ 見えないところをキレイにする
私は「見えないところをキレイにする」という考え方を、生きる上でとても大切にしています。家の中、鞄の中、財布の中、そして心の中もそのひとつです。どれだけ外側を整えたところで、中身が汚いままでは、すぐにそのメッキは剥はがれてしまいます。
・ブランド物のバッグを身につけているものの、その中身は書類が散乱している。
・最新型のパソコンを使いこなしているようで、フォルダが整理されていなくてデータがバラバラ。
・おしゃれなマンションに住んでいるのに、部屋の中は足の踏み場もないほど散らかっている。
こんな表と裏のギャップは、いつしか必ず表面化してきます。どんなに人前でいいことを言っていても、違う場所で反対のことをやっていれば説得力も消えてしまいます。見た目の美しさだけではなく、心の美しさや心の身だしなみを整えること。これはとっても重要です。
人前だけでかっこよく演じていても、見る人が見れば、底の浅さはすぐに見抜かれてしまうものです。そして、他の人から見えないところであっても、自分自身にはちゃんと見えています。だからこそ、見えないところをキレイにすることで、セルフイメージは劇的に上がります。
あのザ・リッツ・カールトン・ホテルの元日本支社長でいらっしゃる高野登さんに教えていただいたことがあります。高野さんは、「飛行機に乗ったあと、自分が使ったシートベルトを整えて出る人はほとんどいない」というお話を教えてくださいました。これはエコノミークラスでも、ビジネスクラスでも、ファーストクラスでも同様だそうです。
この話を聞いて以来、私は飛行機に乗った後には必ず、シートベルトを整えてから席を立つようになりました。誰もそんなところは、気にも留めていません。もしかすると客室乗務員の方も気づいていないかもしれません。しかし、だからこそやる価値があるのです。
多くの人は、「誰も見ていないから」「こんなところは見えないから」と手を抜こうとします。しかし、誰も見ていないからこそ、こんなところまで見えないからこそ、手を抜かず整えることで、それが大きな自信につながります。
いつ見られても恥ずかしくないと思えば、自然と背筋が伸びていきます。誰にも見られることがなかったとしても、そんなところにまで丁寧に手をかけることができているという自己認識が、あなたの心を強くします。