1. PHPオンライン
  2. 生き方
  3. 自信がなく、人生に焦りを感じる人ほど「自分を変える」必要はない

生き方

自信がなく、人生に焦りを感じる人ほど「自分を変える」必要はない

本橋へいすけ(pure life diary開発者/ライフコーチ)

2024年10月22日 公開

自分に自信が持てずに悩んでしまう。そんな現状を変えなければと無理やり行動してみても長続きせず、かえって疲れてしまうかもしれません。ライフコーチでありfeppiness株式会社・代表取締役の本橋へいすけさんは、「自分を変えようとしない」ことが自己肯定感を高める一つの手段だと語ります。ネガティブ思考になりやすい人が、生きづらさを乗り越えるためのアドバイスをお聞きしました。

 

自己受容・自己肯定・自己効力感とは?そのバランスと重要性

最近、「自己受容」「自己肯定感」「自己効力感」という3つのキーワードがよく聞かれるようになりました。これらはどれも自分を理解し、成長させるための重要な概念ですが、それぞれが指す内容とその役割は異なります。単純に「自己肯定感を高めればいい」というわけではなく、これら3つのバランスをとることが大切です。

近年では「自己肯定感」という言葉が最もよく使われています。自己肯定感とは、自分自身を評価し、自分の存在や価値を肯定する感覚です。自分の位置づけや価値を感じる力とも言えます。

しかし、自己肯定感が高いだけでは必ずしもポジティブな変化に繋がらないことがあります。目標達成や自己変革に向かう「自己効力感」がなければ、現状に満足して変わることができないのです。

自己効力感とは、未来や目標に向かって自分が行動できるかどうか、自分の能力を信じる力です。簡単に言うと、「自分にはそれができる」という感覚のことです。自己効力感が高いと、自分が未来に向かって何かを成し遂げられるという自信を持てるため、自己変革を促進します。

そして、自己肯定感を高める前段階で必要なのが「自己受容」です。自己受容とは、ありのままの自分を受け入れることです。自分の欠点や弱点も含めて、そのままの自分を認めることができなければ、自己効力感を高めることは難しいです。

ただし、自己受容だけにとどまってしまうと、「現状のままで良い」という状態に陥り、自己成長や変化が起こらない場合があります。人は基本的に変化し成長する存在ですから、現状維持だけでは人生に停滞感を感じてしまうこともあるでしょう。

自己受容を基盤にしながら、自己効力感、自己肯定感を養っていくことで自己変革を実現していくことができます。

 

自分を変えようとしなくていい

内向型の人の中には、常に「もっと変わらなければならない」という焦りを感じている人も多いのではないでしょうか。そんな焦りを軽くするには、いくつかポイントがあります。

まず大切なのは自分を変えるのではなく、「認知」を変えること。そして、心のスイッチを見つけることです。

内向型の人や自信がない人は、自分自身を変えようとしがちです。しかし、本当は自分自身を変える必要はないのです。大切なのは、「私」という存在を変えるのではなく、私が世の中をどう捉えるか、つまり「認知」を変えることです。人間は根本的には変わりませんが、認知を変えることで、同じ自分でも異なる自信や挑戦力を感じることができるのです。

私は、コーチングを通して持つ相談者の方をサポートしていますが、認知が変わると、それまで自信がなかった人が急に自信に満ち溢れ、挑戦的になれることがよくあります。同じ人なのに、表情や行動がまったく違うように見えるのは、まさに認知の変化が起こっているからです。

内向型の人はしばしば、自分を変えようとして苦労します。たとえば、会議で即座に発言できるようになろうとか、人間関係のコミュニケーション術を学ばなければならないと考えることがよくあります。しかし、それは生まれつき得意な人たちと同じ土俵で戦うことになり、かえって辛い状況に陥ります。

内向型の人は、インプットからアウトプット(発言)までに少し時間がかかるだけなので、その「時間の差」を認知してうまく使えば、非常に良い仕事ができるのです。

 

共通する「心のスイッチ」を見つける

もう一つ大切なことは、「心のスイッチ」を見つけることです。最近は「好きなことを見つける」「やりたいことをやる」といった自己実現のトレンドが広まっていますが、それだけでは十分ではありません。

好きなことややりたいことは、年齢や環境によって変わるものです。しかし、「心のスイッチ」とは、時代や環境が変わっても変わらない根源的な欲求のことです。これを見つけることが、自分が本当に生き生きと仕事や人生を楽しむための鍵となります。

私の例で言うと、ギタリストとしての活動、保険営業、コンサルティング、コーチングなど、これまでの仕事や役割は全く異なります。しかし、私の「心のスイッチ」は共通していて、それは「ハックすること」、つまり何かを攻略し理解することへの欲求です。営業やSNSマーケティングでも、目指すのはその「謎を解く」楽しさです。だからこそ、どんな仕事でもやりがいを感じられるのです。

重要なのは、欲求に対してジャッジをしないことです。自分の根源的な欲求には、良いも悪いもありません。それをどう活かすかが大切なのです。

この「心のスイッチ」を見つけることで、自分の認知を変え、無理せずに自然と人生が変化していくプロセスに向かうことができます。

(取材・執筆=PHPオンライン編集部 片平奈々子)

著者紹介

本橋へいすけ(もとはし・へいすけ)

pure life diary開発者/ライフコーチ/コンサルタント|

大学卒業後、ギタリスト、外資系保険会社、国内大手保険の総合代理店で営業、教育、100人規模のマネジメント業務など経験。2018年にフリーランスのSNSマーケターとして独立。SNSやビジネス全般のコンサルティングをするなかで、本質的な限界を感じ脳や心のしくみである認知科学を含むコーチングアカデミーに通いコーチになる。その後コーチングメソッドを手帳に落とし込んだpure life diaryを考案、feppiness株式会社創業。まじめながんばり屋さんの悩みを自信へ変えるサポートを行っている。

関連記事

アクセスランキングRanking