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13の資格を取得も月収は2万円...女性起業家が陥りがちな失敗例

吉田淑恵(起業家育成コンサルタント)

2024年11月28日 公開

資格を取得さえすれば、すぐに仕事につなげられるかというと、そう上手くはいかないのが現実です。起業家育成コンサルタントの吉田淑恵さんも、起業を志した当初には13もの資格を取得していたにもかかわらず、月の売上は2~3万円程度だったといいます。起業における資格取得に潜む意外な落とし穴について聞きました。

※本稿は、吉田淑恵著『さよならSNS集客』(秀和システム)より一部抜粋・編集したものです。

 

13の有資格者が、月の売上2~3万円だった理由

女性起業家あるあるで、起業する際に何かの認定資格を取るというパターンがあります。じつは、これが間違いの第一歩です。起業のために資格を取るということは、今できないことを仕事にしようとしている、ということです。

新しいことにチャレンジして、それがお金になるまでには時間がかかります。資格を取っただけではお金にはならないのです。

私も、13個の認定資格を持っています。当初は「資格を取ったらすぐに教室を開くことができて、すぐにお客様が来る」と思っていました。

ところが、そうはいきません。資格を取ってからそれを生かせるようになるまでには、経験を積む必要があります。できないことにお金は払ってもらえません。資格取得に励んでいたころの売上は月2万~3万円でした。

お金になるのは、資格ではなくスキルです。

今できること、すなわち今までの経験をノウハウに変えて、商品やサービスをつくるほうが近道なのです。

 

売上・利益を追求すると、満足感・充実感が下がっていく

もしかして、売上が多い人が成功者で、尊敬に値すると考えていませんか?

でも実際には、売上だけで人の価値が決まるわけではありません。

ビジネスで大切なのは、どれだけの売上を上げるかよりも、自分の理想の働き方をしながら、納得できる報酬を得ることです。

多くの人が、起業するとき「自分のキャリアやスキルを生かしたい。そして、だれかの役に立ちたい」という思いではじめます。

これは、自分の経験や知識をだれかに役立てることができる喜びが、原動力になるからです。

ところが実際に事業をはじめると、売上や利益を追い求めるあまり、本来の目的を忘れてしまうことがあります。

「寝ているあいだにチャリンチャリン」のような状態にあこがれるかもしれません。

でも、今それを実現できている人たちだって、最初から楽をしていたわけではなく、その状態に至るまでには、長い時間とエネルギーを投じて努力してきたのです。

また、楽に稼いだお金には、満足感が少ないことが多いです。自分の力で得た報酬こそ、心から満足できるものです。

そして、そのような心から満足できる働き方をするためには、自分の売上に限界を設けないことが大切です。仕事を通じて自己表現をおこない、達成感や満足感を得ることが、人生の充実感につながります。

ビジネスの成功は、単に収益を上げることだけでなく、自分の夢や目標を実現する手段でもあるのです。

 

目標とする人、成功者の真似をするのは失敗の元

理想の人を目標にすることはよくありますね。

「あの人みたいになりたい」と感じることは、だれにでもあるでしょう。

じつは、脳は「あの人みたいになりたい」と思えば思うほど、無意識に「自分はあの人とは違う」と感じてしまうという特徴があります。

すると、自然とあの人とは違う行動をとってしまうことがあるのです。

「あの人みたいに」という気持ちは、ほかの人と自分を比べている状態です。

もし、あなたが他人と比べると落ち込んでしまうタイプなら、比べる相手をつくらないほうが、モチベーションを保ちやすいでしょう(逆に、比べることでやる気が出る人なら、問題ありません)。

また「成功している人の真似をしよう」と言われることもありますが、これには注意が必要です。
理想のロールモデルを見つけるとき、多くの場合、自分よりもかなり上の人を想定します。でも、その人とあなたでは、スタート地点も、今の状況も、目指すゴールも違うはずです。

長い時間をかけて努力してきた人と、起業をはじめたばかりのあなたでは、うまくいくために必要な行動が違うのです。

もし真似をするなら、その理想の人があなたと同じステージだったころに、どんなことをしていたのかを調べてみてください。

できれば、直接聞いてみるのがいちばんいいです。

「知恵の輪の解き方は、知恵の輪を解いた人に聞け」という言葉があるように、成功した方法やうまくいかなかった方法を教えてもらうことで、自分にとっていい結果が得られるでしょう。

その人たちが20年かけて学んだことを教えてもらったら、あなたは10年で同じことができるかもしれません。

 

初めから「やりたいこと」で挑戦するのは大間違い

起業にまつわる事柄を、①やりたいこと、②やれること、③求められていることの三つに分けたとします。

女性起業家さんがやりがちなのが「①やりたいこと」と「②やれること」の重なりで起業をすることです(もしくは「①やりたいこと」と「やれないこと」の重なりで起業する場合もあります)。

私は「①やりたいこと」というのは、もう少し後でもいいかなと思っています。稼げるようになったら、いくらでも好きなことができます。

起業をした後でいちばん重要なのは続けていくことです。そのためには、活動資金を稼いでいくことが必要で、まずは即金を得ることを最優先しましょう。

すぐにお金になりやすいのは、「②やれること」と「③求められていること」の重なりです。ニーズのない商品を世に出してもだれも買いません。

さらに厳密に言うと、ニーズというのは市場のニーズというよりも、「あなたが」求められていることです。なぜならば、個人で事業をしていると「あなたから買いたい」という、あなたの人柄やキャラクターが売上に大きな影響力を持っているからです。

まず何かを提供するのに必要なことは、自分が体現していること。これが「②やれること」で、いわゆる「それを語る資格」です。

そして「③求められていること」として、お客様からの「選ばれる理由」が必要です。「なぜこの人から買うのか?」という理由が必要で、それは人それぞれに違います。

起業すると、みんな「相思相愛のお客様と仕事がしたい」と言います。

しかし、はじめから相思相愛は求めないことです。自分が相手を好きか嫌いかにかかわらず、あなたのことを好きな人をお客様にしましょう。

たとえば、私はアイドルオタクをしていますが、アイドルは私のことを知らないので好きではありません。でも、私は好きだからお金を払う。そういう関係です。だから、相思相愛でなくてもいいです。

お客様を選ぶのは、稼いでからでいいです。自分のことを求めている人に、求められているものを提供することが大事です。だから、やりたいことよりも求められていることが重要です。

著者紹介

吉田淑恵(よしだよしえ)

起業家育成コンサルタント

AOTENコンサルティング合同会社代表、起業家育成コンサルタント。
14年間の専業主婦の末、ハンドメイドの協会認定講師の資格を取り起業。さまざまな認定資格を取り続け13種類の資格を持つも、月商3万円にも満たずに長く低迷。
その後、起業塾を経て、医療·介護業界向けの人が辞めない職場創りのコミュニケーション研修プログラムを開発。数多くの法人·個人と契約し、コンサルティングや研修を実施。起業家の相談に乗るようになる。
さらに、女性起業家を対象としたオンライン起業塾を開講。初年度から年商1700万円達成。4年間で13期開講。ビジネス未経験者、いくつも起業塾に通ってもダメだった人も成果を上げられ、受講生の目標達成率、投資回収率は80%を超える。コミュニケーション講師のキャリアを生かし、顧客とともに成長する心理セールスマーケティングの仕組み「ピタゴラセールス」を提唱。
コンサルティングのほかに、セミナー·コンテンツ作成·セールスライティングなどもおこなっている。

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