1. PHPオンライン
  2. くらし
  3. 仕事の合間にできる「集中力が高まる呼吸法」3ステップ

くらし

仕事の合間にできる「集中力が高まる呼吸法」3ステップ

茂山千三郎(狂言師)

2025年01月10日 公開

700年続く狂言の呼吸法「丹田呼吸」。狂言師の茂山千三郎さんは、この呼吸法を行うことで、心身へのリラックス効果が得られると語ります。仕事の間にもできる「丹田呼吸」の方法を、書籍『カラダが20歳若返る!和儀 医師もみとめた狂言トレーニング』よりご紹介します。

※本稿は、茂山千三郎著『カラダが20歳若返る!和儀 医師もみとめた狂言トレーニング』(秀和システム)の一部を再編集したものです。

 

丹田呼吸を実現させる3ステップ

丹田呼吸を実践してみましょう。この際、重要なのは「背中」を意識することです。肺というのは背中側にあるので、呼吸時には胸(前側)が膨らむのではなく、背中(後ろ側)が膨らむというイメージを持ってください。うまく丹田呼吸ができていると、お腹の丹田(下丹田)がキュゥゥゥンとなる感覚が感じられます。

よく「丹田がどこにあるかわからない」と言われますが、イメージとして、おへその指三本分下の奥のほうにあります(これを「下丹田」といいます)。

空のペットボトルを水平にして両手で持ち、両手の小指と薬指に「グッ」と力を入れて凹ませてみてください。この際に連動して力が入るのが「下丹田」です。丹田呼吸ができている場合、下丹田のキュゥゥゥンという感覚には男女で違いがあります。

男性の場合は「下丹田」に球状に収縮する感覚で、女性は下丹田から筒状にみぞおちあたりの奥のほう(これを「中丹田」という)に向かって引き上がってくる感覚です。 

さて、息を吸うためには、まず ①、口から息を吐き切ることから始めることを忘れないでください。その後、②と③を「吐いて、吸う」「吐いて、吸う」でくり返します(4カウントで吸い、8カウントで吐く)。

 

①口から息を吐き切る

・ 「ウーーーーーーッ」(ウとヴのあいだくらい)と、お腹を背中にくっつくようなイメージで凹ませます(筋肉を使ってお腹を締め上げるのではありません)
・ 骨盤底筋(女性は膣、男性は睾丸)が自然と引き上がるイメージです
・ ボディーブローを受ける瞬間に力を入れる腹部の箇所を意識します
・ しかし、決して力を入れて締めたり引き上げたりしない。とくに肛門は締めず、つねに脱力

②鼻から息を吸う

・ 息が背中、腰を通ってお腹へ入っていくイメージで(実際にはお腹に入りません)
・ お腹と背中を膨らますことで、肺のスペースを作ります
・ 重要なのは、息を使ってお腹まわりの筋肉群(腹横筋)を動かしてきたえること

③口から息を吐く

・ 息は吐き切ることが重要です
・ お腹と背中が凹む感覚が大事(お腹に手を置いて凹みを感じよう)
・ 姿勢は変えず、胸を閉じないようにします
・ 上も下も見ず、視線は正面を向いたまま

なお、しっかりと丹田呼吸できていれば、息を吐く際に横隔膜が上に動くだけではなく、丹田がキュゥゥゥンとなり、骨盤底筋も連動して上に動きます。

 

仕事の合間やリラックスタイムにも

医学的に言えば、肺というのは多くの方が思っている以上に、身体の下方まであります(インターネットで肺の位置がわかる画像を検索してみてください)。きちんと腹式呼吸ができると、胸だけではなく、背中も膨らむはずです。

こういうことも気づきの一つです。そこに気づいていないと、呼吸というのは思っていた以上に深く、身体の奥まで入れることができる(丹田呼吸できる)と認識できません。こういった、これまでの常識を「右脳」や「身体感覚」で解きほぐす必要があります。

日常生活で座りっぱなしの時間が長くなりがちな現代では、意識して丹田を使った呼吸をおこなうことで、体の中心部をきたえ、バランス感覚を養う必要があります。

たとえば、仕事の合間や自宅でのリラックスタイムに、丹田呼吸を取り入れるだけでも「気づき」に近づけるかもしれません。

うまくいけば、日頃から丹田呼吸を用いることで、新陳代謝が活性化し、疲労回復も早まって、さらに免疫力も向上するので、簡単に心身の健康を向上させることができます。

また、仕事の合間と言えば、丹田呼吸は集中力の向上にも役立ちますので、今ここに意識を集中させることができ、雑念を払う効果があります。これは、仕事や日々の学びにもつながり、日々の生活が、より豊かで充実したものとなるでしょう。

 

関連記事