「ローマ法王」と「ローマ教皇」の違いを生んだ“歴史的背景”
2019年11月17日 公開 2019年11月22日 更新
ローマ法王・フランシスコに謁見する徳安茂氏
<<2019年11月、ローマ教皇フランシスコが日本を訪れる。ローマ教皇の来日は実に38年ぶりのこととなる。
来日に合わせて書籍から日めくりカレンダーといった関連書籍が続々と発売され店頭を賑わしているが、この熱狂の背景には現在のローマ教皇フランシスコの人気の高さがある。2013年の就任以来、歴代教皇と比較しても異例の世界的支持を集めるフランシスコ教皇が訪日するからだ。
しかし、今回の訪日にともなった報道や商品のうちで「ローマ教皇」と「ローマ法王」と二種類の呼称が混在していることにお気づきの方がいるだろう。法王と教皇、なぜ違いが生まれるのか?
その理由を「なぜローマ法王は世界を動かせるのか」の著者であり、元バチカン公使の徳安茂氏が、日本とバチカンの歴史を踏まえて解説する。>>
※本稿は徳安茂著「なぜローマ法王は世界を動かせるのか」より一部抜粋・編集したものです。
かつては併用されていた「教皇」と「法王」
「法王」とは、日本政府が太平洋戦争が始まって間もない昭和17年(1942年)にバチカンと正式に外交関係を結んだときからの呼称である。
ちなみに米国がバチカンと外交関係を結ぶのはこれに遅れること42年、即ち1984年のこと。
他方、「教皇」とは、日本のカトリック教会が1981年のヨハネ・パウロ2世来日時にそれまで併用して使っていた呼称を「教皇」に統一してからの呼び名である。
従って、どちらも間違いではないが、報道関係等では政府の正式呼称である「法王」を用いることが一般的であるのに対し、カトリック協会関係では「教皇」という語を使うのが普通となっている。
この日めくりカレンダーは「教皇」。来日合わせてに発売された書籍などには「法王」の呼称も混在している。