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もっと寝たいのに...「朝早く目覚めてしまう」睡眠の悩みを解決するには?

保坂隆(精神科医)

2025年06月28日 公開

眠るのに時間がかかる、深夜や早朝に起きてしまう、熟睡ができない...。60歳以上の3人に1人が「不眠に悩む」といわれ、睡眠のストレスを抱えるシニアが増えています。本稿では、書籍『精神科医が教える 毎日がスッキリする「老後の快眠術」』より、"早朝覚醒"を改善する方法についてご紹介します。

※本稿は、保坂隆著『精神科医が教える 毎日がスッキリする「老後の快眠術」』(PHP文庫)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

「長く眠るにもパワーが必要」 体力の衰え、脳の衰え

寝不足を抱えながらも、仕事に励むのが働き盛りの時代だとすると、そろそろ定年が視野に入る中高年期になれば、睡眠自体もだんだん変わってきます。脳の機能が弱まるとともに、「覚醒」も「睡眠」も長時間続けるのが難しくなって、早寝早起きの習慣が崩れがちになるのです。

こんな声を聞きます。

「長時間起きているのがつらくて夜は早い時間に眠くなるけれど、早めに寝ても今度は眠る力が弱いので、朝早く目覚めてしまうから困る」

よく「長く眠るには体力が必要」などといわれますが、たしかに若い頃のようにぶっ続けで長時間寝るためには、それなりのパワーが必要なのでしょう。

そして、「早く眠くなっても長時間眠ることができない」ケースでは、必然的に早寝早起きのサイクルがつくられるようになります。しかし、これを「年をとったから早起きになる」という定説で片づけるのは気が早すぎますね。

こうした中高年の早寝早起きの習慣は、日中の疲労や過度の運動が影響しているわけではなく、脳の衰えによるもの。それならば、ここで睡眠サイクルをしっかり見直して睡眠の質を高めれば、高齢になってもよい睡眠習慣はキープできるはずです。

 

早朝の目覚めは、加齢で「体内時計のサイクル」が早まるから

高齢の人に多い「早朝覚醒」や、夜中に何度も起きてしまう「中途覚醒」は、体内時計のリズムの乱れによって引き起こされます。

高齢になると、以前より時間に余裕ができるとともに、日中の活動量がぐんと減ってしまい、メリハリのない生活になりがちです。これが早朝覚醒や中途覚醒の増えるもとなのですが、目が覚めるたびに「今日も早く目が覚めた」「また夜中に起きてしまった」と、いちいち気にするのは逆効果です。

一番いいのは、若いときより睡眠量が減るのは"自然なこと"だと考えて、大らかに受け止めることでしょう。

もし睡眠時間が少なくなっても、「起きている時間が増えてラッキー」というふうに考えられたら、不眠に対する不安もぐっと軽くなるでしょう。ただ、そうはいっても、60歳以上の三人に一人が不眠に悩んでいるという報告もありますから、やはり適切なケアは必要ですね。

高齢者が不眠を感じる大きな原因は、どんなに眠っても"充足感"が得られないからといわれています。

睡眠中の熟睡度を比較してみると、若い世代では就寝中に深く眠る時間の割合が4割ほどなのに対して、高齢者では1割にも満たないので、眠っている間に深い睡眠になっていないとわかります。

高齢者の睡眠の悩みには、なかなか寝つけない「入眠障害」やぐっすり眠れない「熟眠障害」、夜中に何度も目が覚める「中途覚醒」や早朝に目が覚める「早朝覚醒」などがありますが、どれも共通しているのは「熟睡感のなさ」と「眠りの浅さ」です。

とくに高齢だと朝早く目覚めてしまって悩む人が多いのですが、これも熟睡できず、眠りが浅いために起こること。

ところが、早起きには一般に健康的なイメージがあることから、「年寄りは朝が早い」というのをプラスに捉える人がほとんどです。そのため、なかには「早起きは三文の徳といいますし、いいことですね」などと言われて、逆にため息をつく人も少なくないでしょう。

もちろん早く起きて、その後も快適に一日を過ごせるならまったく問題ないのですが、一日中気分がスッキリしないままの状態が続くとしたら、とても健康的とはいえません。

実は、この「早朝覚醒」は、人間の体内時計に関係しています。生理学上、人間の体内時計は24時間よりも少し長めに設定されているのですが、このサイクルが加齢によって年々早くなり、24時間より短くなっていくと、自然と朝早く目が覚めることになります。

もちろん、体内時計の変化は生理的なものですが、体内時計を正常に戻すように努力することも大事です。

そのために有効なのは、光をうまくコントロールすること。これが体内時計の正常化には効果的です。体内時計は2500ルクス以上の強い光に反応する特徴がありますから、これを利用するといいでしょう。遮光カーテンなどで部屋を暗くして、とにかく強い光を見ないことです。

反対に眠気が増す夕方になったら、今度は光をしっかり取り込んで、部屋をできるだけ明るくします。夕方、強い光を浴びて体内時計を後ろにずらすことができれば、睡眠サイクルを修正して正常な状態に近づけられます。この方法では、目から入る光を意識的にコントロールすることが最大のポイントです。

工夫を凝らしながらこの方法を続ければ、早朝覚醒の改善にきっと役立つはずです。

 

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