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朝カレーでもOK! ハッピー人生をつくる「朝ごはん」のパワー

永山久夫(食文化史研究家/長寿食研究家)

2013年05月16日 公開 2022年12月21日 更新

朝カレーでもOK

 今では朝カレーはすっかり根づいていて、子どもたちを中心に、週に何回かはカレーライスにする家庭が多いようです。

 子どもが喜べば両親も食べるので、頭の機能や健康を考えたら決して悪いことではありません。ホームメイドのカレーの場合、前の日に作ってひと晩寝かせたものの方がマイルドになっていて、むしろおいしいものです。

 小麦粉で作っていたドロリとした昭和のカレーは、前の晩の残りのカレーを朝食に温め直して食べるのが当たり前でしたが、不思議なことにこれがおいしくなっていて、子どもも大人も大喜びでした。

 アメリカの野球界で大活躍のイチロー選手の朝カレーは有名ですが、日本の野球選手の中にも、パワーが出るからといって朝カレーにする選手が少なくないそうです。

 朝カレーはなぜ人気があるのでしょう。

 ひとつは、スパイスのほどよい刺激が食欲を高めること。もうひとつは、市販のカレーを使用した場合、その中に含まれている20種以上の香辛料が、脳内の血流を増加させるため集中力が高まり、やる気が出ること。つまり、午前中から頭を能率的に回転するためには、朝カレーは大変理にかなっているのです。

 カレー粉のスパイスは、ほとんどが薬効性の高いものばかり。黄色のもとはターメリック、つまりウコンで、主成分のクルクミンは血液を浄化し、血管や脳細胞の酸化を防ぐ強い抗酸化作用で知られています。

 この黄色い成分には認知症の予防効果もあるといわれ、カレー料理をよく食べるインド人がアルツハイマー症にかかる率は、アメリカ人の4分の1という説さえあります。

 カレー粉にはジンジャー(生姜)が使われ、辛味成分のジンゲロンには体を温めて血行をよくし、新陳代謝を活発にして脂肪を燃焼させる作用もあります。

 またガーリック(ニンニク)には、脳に元気をつけるビタミンB1の働きをよくするアリシンが豊富に含まれていて、スタミナ増強効果も期待できます。この他、たくさん使われているスパイスに、薬効作用のある成分が含まれているのがカレー粉なのです。

 朝カレーにおすすめの肉は、ビタミンB1の含有量が牛肉の10倍前後もある豚肉で、100グラムも食べれば、1日の必要量がとれるほどです。脳が必要とするブドウ糖の代謝に欠かせないビタミンなので、朝から頭の回転をよくしてくれるでしょう。

 そのビタミンB1の吸収力を高めてくれるのがアリシンという、タマネギやニンニクに含まれている成分で、どちらもカレー料理にはよく使われていて高いパワーを秘めています。

 


<書籍紹介>

長生きしたけりゃ、今すぐ朝のパンをやめなさい。
病気にならない“朝和食”のすすめ
永山久夫 著
本体価格 1,300円

世界文化遺産に申請した、和食の魅力は、おいしい、ヘルシー、美しい。特に和朝食に多い味噌汁、果物、生卵などの長寿の知恵を探る。

永山久夫(ながやま・ひさお)
食文化史研究家。1932年、福島県生まれ。食文化研究所、綜合長寿食研究所所長。西武文理大学客員教授。古代から明治時代までの食事復元研究の第一人者。長寿食や健脳食の研究者でもあり、長寿村の食生活を長年にわたり調査している。著書に『なぜ和食は世界一なのか』(朝日新書)、『長寿食365日』(角川学芸出版)、『万葉びとの長寿食』(講談社)、「江戸めしのスヽメ』(メディアファクトリー新書)、『健康食なっとう』『健康食みそ」(以上、農山漁村文化協会)、『みそ和食』『100歳食 レシピ編』(以上、家の光協会)ほか多数。

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