「感じのいい人」と聞くと、特別な話し方や高いコミュニケーション能力を思い浮かべるかもしれません。しかし実際は、日常の何気ない言葉選びにこそ、その違いがあります。
相手の行動を具体的にほめる、「ちゃんと」「普通」などのあいまいな言葉を避ける、そして小さな「うれしい」をこまめに伝える――。そんな少しの工夫が、相手に安心感や心地よさを与え、人間関係をより豊かなものにしてくれます。
本稿では、一般社団法人JCMA代表理事でコミュニケーション講師の吉井奈々氏に、感じのいい人が自然に実践している“言葉の習慣”を紹介して頂きます。(イラスト:松本麻希)
※本稿は、吉井奈々著『なぜか、また会いたくなる 感じのいい人の心がけ帳』(PHP研究所)より、内容を一部抜粋・編集したものです。
行動のほめ方が具体的
「やさしいね」という言葉に、「〇〇してくれてうれしい」をそっと添えてみませんか。
具体的な行動を言葉にして伝えることで、あなたが何によろこんだのか、相手にきちんと伝わります。
すると相手は「次もやってあげたいな」と、自然に思えるようになります。
そのひとことが、次のやさしさの種になるのです。
「やさしいね」と言われるとうれしいけれど、自分の行動の何がよかったのか、少し伝わりにくいこともあります。
そんなときは、ほめ言葉に行動を1つ足してみましょう。
「洗濯物をたたんでくれて助かったよ」
「食べた食器を片付けてくれてうれしい」
具体的に伝えるだけで、「ちゃんと見てくれている」という安心につながります。
また、自分の何がよろこばれたのかがわかると、相手は迷わず、また同じ行動ができます。
これは、子育てだけでなく、職場も同じです。
「あの資料、図解があってわかりやすかったよ」
そう伝えるだけで、相手のよさはもっと伸びていきます。
感じのいい人の言葉には、相手への細やかな観察眼が宿っています。「何がうれしかったか」を具体的に贈る習慣。それは、あなたの周りに笑顔を増やします。
--♪言葉が具体的なほど、心に刺さりやすい♪--
ちゃんと・普通・常識・当たり前を使わない
「ちゃんとして」「普通は」「常識的に考えて」
つい使ってしまうこの言葉。実は中身がとてもあいまいです。何をもって「ちゃんと」なのかは、人によって異なります。自分にとっての当たり前も、相手にとっては初めてのことかもしれません。
感じのいい人は、こうした言葉の代わりに「こうしてくれるとうれしいな」と、自分を主語にして具体的に伝えます。そうすると、指示ではなく「お願い」として届くので、相手も迷わず、心地よく動くことができます。あいまいな言葉をやさしく翻訳するひと手間が、お互いの笑顔を守るのです。
ちょっと、あと少し、もうすぐ、かなり、いっぱい、いい感じに、しっかり、今度...などは、人によって受取り方が変わってしまうあいまい言葉です。数字で表せるものは数字で◯分くらい、◯人、と具体的に伝えると誤解が生まれにくくなります。
--♪「ちゃんと」って言いそうになったら、「具体的に何をしてほしい?」って自分に聞いてみよう♪--
うれしいをこまめに出す
みなさんは、日常の小さな「うれしい」を、その場で言葉にして届けられていますか。
大げさでなくていいんです。ただその瞬間を、素直に言葉にするだけでいい。そのひとことが、相手の心をじんわりとあたためる贈り物になります。
感謝やよろこびは、心に溜めておくよりもこまめにその場で手渡していく。そのほうが、ふたりの間の空気はやさしく耕され、関係もゆっくりと育っていきます。
素直な気持ちを届ける心地よさ。「うれしい」の循環が、あなたの周りをゆっくり満たしていくのです。
「ありがとう」だけでなく「うれしい」という感情もセットで伝えてみる。その素直な表現が、相手に「やってよかった」「言ってよかった」という安心感を届け、心に明るさを残してくれます。
--♪「うれしい」と言われると、人間は「また何かしてあげたい」と思うもの。だから、出し惜しみは損ですよ♪--