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生き方

他人の期待に応えてばかりの「いい人キャラ」をやめられる一つの問い

中島輝(心理カウンセラー)

2024年10月08日 公開

常に「いい人」でいようとする人は、自分の価値を他人からの反応に見出してしまっているかもしれません。誰かに好かれたり、褒められるための行動ばかりだと、気づいたときには心が疲弊していることも...。

心理カウンセラーの中島輝さんは、著書『自分を好きになる7つの言葉』のなかで自分を愛せるようになる方法を説きます。本稿では同書から、人の目ばかり気にしてしまう人が自分の価値を自分で決められるようになるプロセスを紹介します。

※本稿は、中島輝著『自分を好きになる7つの言葉』(きずな出版)より内容を一部抜粋・編集したものです。

 

「いい人」になりたい人に共通する心理

「いい人」になろうとする人には、いくつか共通する点があります。

彼らは、
「人から好かれたい」
「ほめられたい」
「必要とされたい」
と強く思っています。

自分の本当の気持ちを隠して、いつも人のために何かをしています。自分よりも他の人のことを先に考えるのです。

なぜ「いい人」であろうとするかといえば、自分自身を「価値がある人間」と感じたいからです。人からの「ありがとう」や笑顔をもらうことで、自分も大切な存在だと実感するわけです。

でも、それは少し大変です。いつも人を喜ばせようとすると、自分の時間や気持ちを犠牲にしてしまいます。自分のことを後まわしにしてしまいがちです。

また、「いい人」は、人とのトラブルが怖くて、自分の本当の気持ちを言えないこともあります。

自分の意見を言ったら、
「相手を傷つけてしまうかもしれない」
「ケンカになるかもしれない」
と思ってしまいます。

そこで、自分の気持ちを抑え込むことになります。我慢して、人に合わせることが多くなるのです。でも、ずっとそのままだと、自分がしんどくなってしまいます。

いつも人のためにがんばっているのに、なぜか「満足感が得られない」。それどころか、疲れてしまったり、自分が何をしたいのかわからなくなってしまうこともあります。

「いい人」を卒業するには、まずは自分自身の気持ちに正直になることが大切です。自分のことをもっと大切にして、自分のためにも「NO」と言える勇気を持つこと。そして、自分が本当に価値のある人間であることを、他人からの評価じゃなくて、自分で感じることができれば、もっとラクに、幸せに生きられるようになります。

 

なぜ、人の目が気になってしまうのか

他人の評価や期待に振りまわされてばかりいると、自分自身の本当の望みや価値観から離れてしまいがちになります。

他人の目を過度に気にしてしまうと、自分らしさを失い、自分の人生ではなく、他人が期待する人生を生きることになってしまいます。自分は何をしたいのか、何を大切にしたいのかに焦点を当てることで、より充実した人生を送ることができます。

自分自身の幸せや満足感を追求することが、結果として周囲の人たちにもよい影響を与えることにつながります。自分自身にとって意味のあることに時間とエネルギーを使うことで、自己実現に近づくことができるのです。

しかし、これは他人の意見や感情をまったく無視しろという意味ではありません。人間は社会的な存在であり、他人との関わり合いの中で成長していきます。大切なのは、他人の意見を参考にしつつも、最終的な判断は自分自身の価値観に基づいて行うことです。他人の意見を聞き入れる柔軟性と、自分の心に従う強さのバランスを取ることが重要です。

人の目を気にしすぎないこと。自分らしく生きること。それは、自分に自信を持ち、自己肯定感を上げます。自分の内面に対する理解と受容が深まることで、他人の評価に左右されることなく、自分の人生を主体的に歩むことができるようになります。自分自身を信じて、自分らしい幸せを追求する勇気を持つことが、人生を豊かにする鍵なのです。

ところで、人の目を気にするなと言われても、気になるのが人情です。人の目が気になるのは、私たちがみんなと仲良くやっていきたい、と思うからです。友達や家族、学校や会社の人たちに「いいね」と思われたい、困ったときに助けてもらいたい、そう願うのは自然なことです。

【人の目を気にする理由】

①「みんなから好かれたい」
誰かにほめられたり、笑顔で話しかけられたりすると嬉しいものです。それは、他の人から認められることで、「自分は大丈夫だ」と感じるからです。

②「他の人と比べてしまう」
「あの人はどうして、あんなに上手にできるんだろう」「みんなに人気があって羨ましい」などと思うのは、他の人と比べて、自分がどのくらいのものかを知るためです。 

③「ルールに合わせたい」
学校や会社にはルールがあります。そのルールに合わせることで、みんなとうまくやっていくことができます。みんなから浮いてしまわないように、自分も、そのルールに従おうとするわけです。

④「友達をつくりたい」
他の人のことを気にするのは、友達をつくったり、いい関係を保ったりするためです。相手が何を考えているかを知り、相手に合わせることが、友達関係をよくする秘訣です。

人の目を気にしすぎると、自分が何をしたいのか、何が好きなのかを忘れてしまうことがあります。
大事なのは、人の意見も聞きつつ、最終的には自分が何を大切に思うかを考えることです。

他の人と比べずに、自分らしくいることが一番大切です。自分が楽しいと思えることを見つけて、自分のペースで進んでいきましょう。

 

なりたい自分が見つかるたった一つの質問

自分の価値を自分で決めることも、「いい人をやめる」宣言において重要なポイントです。他人の目や社会的な評価に振りまわされることなく、自分は何を価値があると感じるのか、自分の幸せとは何かを自分自身で定義します。

他人からの承認を追い求めるのではなく、自分自身の心に正直に生きることで、本当の自分を見つけ出し、自分らしい幸せをつかむことができるでしょう。自分自身を愛し、尊重することで、より豊かな人生を歩むことができます。

ここで一つ、質問です。

「あなたは、どんな自分が好きですか?」

この質問をすることは、自分自身を深く掘り下げ、内面を見つめ直す機会になります。

私が好きな自分は、何事にも好奇心を持ち、新しいことに挑戦する勇気がある自分です。未知のことに足を踏み入れるときのドキドキ感、そして、それを乗り越えたときの達成感は、自分自身をより成長させてくれると感じます。

また、他人に優しくできる自分も大切に思っています。誰かの役に立つことができたとき、または誰かを少しでも笑顔にできたとき、その瞬間の温あたたかさが心に深く残ります。自分自身と他人の間にある「つながり」を感じられる自分が好きです。

失敗を恐れず、失敗から学び、立ち直ろうとする自分も尊敬しています。完璧を求めることなく、自分の不完全さを受け入れられるとき、人生はより豊かで柔軟なものになると感じるからです。自分を表現することを恐れない自分も、とても大切にしています。

自分の思いや考えを素直に伝えられる自分は、他人との深い関係を築く基盤となります。自分らしさを大切にし、それをまわりの人たちにも受け入れてもらえるとき、真のつながりが生まれると信じています。

最後に、常に学び続ける自分を愛しています。知識を深めたり、新しいスキルを身につけたりすることで、自分の世界が広がっていくのを感じるからです。好奇心を持ち続け、常に成長しようとする姿勢は、自分自身を刺激し、人生を豊かにする源泉です。

これらすべての側面を持つ自分が、私が最も好きな自分です。自分の内面と向き合い、自分の価値を認め、受け入れること。それが自己肯定感を上げ、自分を好きになる秘訣だと思います。

著者紹介

中島 輝(なかしま・てる)

心理カウンセラー

心理カウンセラー。小学4年生のころから双極性障害などの心の病に苦しみ、25歳で実家の借金を背負い込んだことからパニック障害と過呼吸の発作が悪化。その後10年にわたって引きこもるも、その中で独学で心理学やセラピーを習得し自らに実践して35歳で克服。現在まで1万名を超えるクライアントに心理カウンセリングを行い、その95%が回復している。著書に『大丈夫。そのつらい日々も光になる。』(PHP研究所)他、多数。

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