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「この人を尊敬している」が目線でバレる? 心理学が明かす無意識のサイン

内藤誼人(心理学者)

2026年07月03日 公開

人間関係を上手に築くには、相手の心を読む力も大切です。心理学者の内藤誼人さんは著書『10秒で本音を見抜く心理術』にて、相手への評価は視線が物語ると解説しています。相手への感情が目線にどう表れるのか、同書よりご紹介します。

※本稿は、内藤誼人著『10秒で本音を見抜く心理術』(PHP文庫)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

人は尊敬する相手ほど、長く見る

上司になると、部下からどう思われているのかが気になります。私は大学の先生をしておりますが、やはり学生からの評価が気になります。

「嫌われたって、ちっとも気にしない」と割り切って考えられればよいのですが、なかなかそういうわけにはいきません。

自分が部下に尊敬され、重きを置かれているのであれば、部下が自分を見つめる時間は長くなります。じっとこちらの顔を見つめるようでしたら、みなさんは部下に重きを置かれていると判断しても間違いではありません。逆に、こちらが話しているのに、どこかそっぽを向いているようなら、軽く見られている証拠になります。

カナダにあるブリティッシュ・コロンビア大学のトム・ファウルシャムは、数人のグループを作ってもらい、「月で生き延びるのに必要なもの」というテーマで話し合いをしてもらいました。

話し合いが済んだところで、それぞれのメンバーに「どの人にリーダーシップを感じたか」を選んでもらいました。話し合いについてはビデオで録画しておいたのですが、そのビデオを分析してみると、リーダーシップがあると感じさせる人には、他のメンバーからの視線が集まりやすいことがわかりました。

 

視線を向ける時間の長さが、相手の評価を物語る

私たちは自分よりも立場や地位が上だと感じる人に、より長く視線を向けるという傾向があることが明らかにされたのです。

というわけで、もし部下と話すときに、じっくりと自分の顔を見つめてくるようなら、おそらくは重きを置かれているのです。そんなに尊敬もされておらず、軽く見られているのなら、部下が自分に視線を向けることもないでしょうし、仮に視線を向けても、すぐに別のところに視線を外してしまうはずです。

自分に視線を向けてくれないときには、「ああ、自分はそんなに大事にされてもいないのだな」ということがわかってしまうので、ひどくガッカリすることがあるかもしれません。

しかし、こういうときにこそ、もっと前向きに考え、「では、どうすれば部下からしっかり見つめてもらえるようになるのか」と建設的に考えるようにするとよいでしょう。いつまでも落ち込んでいてもしかたがないので、状況を好転させるにはどうすればよいのかを考えたほうが前向きな気持ちになれます。

 

興味は「瞳孔」に表れる

アパレルのお店で、入店してきたお客さまがどの服に興味があるのかは、お客さまの目を見ればわかります。「おっ、これはいい!」と思う服を見つけたとたんに、目を見開いて瞳孔が拡大する(黒目が大きく見える)ので、それに注目すればいいのです。

クライアントに3つのデザイン案を示したとき、クライアントがどのデザインを好むのかも同じようにしてわかります。A案、B案、C案の資料を机の上に並べて見せたときに、お客さまの瞳孔を確認するのです。もしC案の資料に目を向けたときに、目を見開いて黒目が大きく変化したのなら、おそらくはC案に興味があるのでしょうから、C案のプランを中心にプレゼンテーションすると、うまく採用してもらえるでしょう。

米ブリガム・ヤング大学のロバート・アトウッドは、12歳以下の少女への犯罪で収監されている小児性愛者10名と、同じ刑務所に収監されている、小児性愛ではない犯罪者10名を比較のための条件(コントロール条件)として、5歳から8歳の少女のヌードと、大人のヌード写真を見せて、瞳孔の変化を調べてみました。

すると、小児性愛者は、少女にしか興味がありませんから、少女のヌードを見たときに瞳孔が大きくなることがわかりました。比較のための条件においては、普通に大人のヌードを見たときに瞳孔が拡大しました。

 

人は興味を持つと、無意識に目を見開く

私たちは、「おっ、これは!」と感じたときに目を見開きます。目を見開くことによって、その対象をよりしっかりと見つめようとするのでしょう。

同じような研究は他にもあります。英サセックス大学のベッキー・ヒーバーは、26名の大学生に40の名詞の単語を記憶してもらいました。コンピュータの画面に2秒ずつ単語が現れるので、それを記憶していくという実験です。

40の単語を覚えてもらったところで、次にテストとして80の単語をモニターに順番に映し出しました。覚えてもらった40の単語と、新たに加えた40の単語です。

そのときの瞳孔の変化を調べてみると、覚えた単語がモニターに映し出されたときに、瞳孔が拡大することがわかりました。「あっ、これはさっき覚えたやつだ!」と興奮すると、自然と瞳孔が開いてしまうのでしょう。

「目は心の窓」という表現がありますが、相手の目を見ればその人がどんな対象に興味や関心があるのかも見抜くことができるのです。

著者紹介

内藤誼人(ないとう・よしひと)

心理学者/立正大学客員教授

慶應義塾大学社会学研究科博士課程修了。[有]アンギルド代表。社会心理学の知見をベースに、ビジネスを中心とした実践的分野への応用に力を注ぐ。その軽妙な心理分析には定評がある。『人は「暗示」で9割動く!』(だいわ文庫)など、心理に関する著書多数。

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