(C)はんざき朝未/講談社(『消費生活者ターさん』1巻「翼が生えるドリンク」より)
消費生活センターを舞台に、消費生活のトラブルをユーモラスに描く漫画『消費生活者ターさん』(コミックDAYS)。作者のはんざき朝未さんへのインタビュー第2回では、作中で扱われるエピソードの裏側に迫ります。契約トラブルや製品事故といった事例や、随所に散りばめられた思わずクスッと笑ってしまう小ネタについて、詳しく伺いました。
生活に根ざした題材だからこその面白さ
――『消費生活者ターさん』は、消費生活センターが舞台です。実際に漫画として描いてみて、消費生活センターを題材にする面白さや難しさはありますか。
【はんざき】やはり生活に根ざしているので、自分の実体験も絡んでくるところは面白いですね。消費活動全般を扱うので、テーマを幅広くできる楽しさもあります。
ただ、トラブルの内容となると、結構限られてくる部分もあります。それを話としてどう構築していくか、という難しさはありますね。センターに寄せられる相談の多くは、「契約関連のトラブル」だそうです。
――契約関連というと、どういったものがあるのでしょうか。
【はんざき】例えば、脱毛のコースを契約したけれどサロンが潰れてしまったとか。あるいは、契約してしまったけれどやっぱりやめたい、クーリングオフしたい、といった内容ですね。
――ニュースなどでも目にする話ですね。1巻には契約関連以外にも、「説明書を読まず、事故にあってしまった男性」が登場します(『消費生活者ターさん』1巻収録「あなたはトリセツを読みますか?」)。
【はんざき】その回では「製品事故」を扱ったのですが、最近は製品事故の相談自体があまりないそうなんです。ですので、この回はネットで調べて構成していきました。
説明書の表記については、法律がどんどん整備されていくので、書く側もそれに対応していかなければならない。結果として注意書きがものすごく多くなっています。世界に視野を広げると、いろいろな事例がありそうなので、もしかしたらリサーチしがいのあるテーマかもしれません。
――はんざきさんご自身は、説明書をしっかり読むタイプですか?
【はんざき】読まないです(笑)。読まないんですけど、説明書の回を描いている前後くらいは、さすがに読もうかなと思ってちゃんと読みました。
――そうなんですね(笑)。読まなくて失敗したことはありませんか?
【はんざき】失敗したことはまだありません。ただ、以前に何か商品のトラブルについて電話で相談したときに、「説明書に書いてありますよ」と言われたことが一回あったかもしれないです。
――本作を読んで、私もちゃんと読まなければと思いました...。
食品表示や製品事故をどう物語に落とし込むか
――食品表示を扱った回では、「果汁100%ではないのに、果汁が滴っているイラストはダメ」という話がありました。普通にありそうなパッケージだけど、違反なんですね...。(『消費生活者ターさん』1巻収録「翼が生えるドリンク」)
【はんざき】食品表示についてはすごく細かく決まっていて、調べていて面白かったですね。最近はメーカー側も気をつけているので、滅多に違反しているものはないようなのですが。
――1巻には他にも"高額な教材を買ってしまった人"など、様々な事例が登場します。これらを作品で描いた理由について教えてください。
【はんざき】どんなトラブルを描くかは、ターさんを基準に考えています。ターさんが街に出てきて、現代社会のものとどう触れ合っていくかを軸にしながら、製品事故や食品表示といった「消費生活問題の大きな基本項目」をうまく絡められたらいいなと思って選びました。
――ターさんを起点に考えると、自然と題材が決まっていくわけですね。そういった大きな項目は、ほかにもたくさんあるのですか?
【はんざき】実は、そんなに多くはないんです。どうしても契約関連の細かい話になりがちなので、これから登場するのはどんどん高度な事例になっていくと思います。
――それに合わせて、ターさんも相談員として成長し、高度な案件も扱えるようになっていくという流れですね。
【はんざき】そうですね。あとは、過去の消費生活問題の大きな事件も参考にしています。例えば「茶のしずく石鹸」のトラブルや、もっと前だと「牛肉の偽装問題」など、年表をある程度参考にしたりもしています。
――思い返してみると、どれも重大なニュースとして報道されていましたね...。
メロンパンは紛らわしい?
(C)はんざき朝未/講談社(『消費生活者ターさん』1巻「翼が生えるドリンク」より)
――作中で、ターさんが消費生活センターの職員に歓迎会を開いてもらうシーンが大好きです。ただここにメロンパンが描かれているのが謎だったのですが、どういった意味があるのでしょうか。
【はんざき】そのシーンはめっちゃ頑張って描きました(笑)。メロンパンについては2話のテーマだった「優良誤認」に絡めた小ネタですね。メロンが入っていないのに、メロンの形をしている、という「紛らわしいシリーズ」として登場させました。タコさんウインナーもそうですね。
もちろん、メロンパンが優良誤認かというと、そうではないからこそ今も流通しているわけです。ただ、「果汁2%なのに100%と誤認させる」のと同じように、「メロンが入っていないのにメロンだと誤認させる」というニュアンスで、よく見ると紛らわしいものが登場しています。
――そういうことでしたか...カニカマも登場していますね(笑)。
【はんざき】実は昔、カニカマを本当にカニの身だと思っていたんです(笑)