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結果を出す上司は「残業が悪」だと知っている

佐々木常夫(東レ経営研究所特別顧問)

2013年07月24日 公開 2022年07月14日 更新

「残業は悪」という意識を部下にも植えつける

だから、もしチーム内で残業が当たり前になっているとしたら、それはリーダーである自分の常識やバランス感覚、プロ意識、想像力、責任意識が欠如している証拠であると考えたほうがいい。そして自身の意識変革を図るとともに、部下にも意識変革を促す必要がある。

残業を減らし、定時に帰れるチームを作るには、残業は悪であるという意識を部下に植えつけていくしかない。

こうしたとき、リーダーは、自分の考えを部下にうまく伝える言葉を用意しておく必要がある。

たとえば、この残業の話であれば、「残業が多いのは、あなたの『バランス感覚が欠如』しているからだ」「『プロ意識の欠如』にはかならない」といったひと言は、部下にとってずしんと重く響く言葉になるはずだ。しかも本質を突いた言葉なので、説得力もある。

部下を説得し、納得させるとき、言葉の力は非常に大きい。言葉は武器になりうる。リーダーは良い言葉に出合ったり、自分で良い言葉を見つけたときにはメモをとるなどして、言葉力を磨いておく必要がある。

私は、こうした言葉を手帳に書きとめておいて、電車のなかで暗記するようにしている。すると、必要なときにスッと言葉が出てくるのだ。

 

上司の思い込みと部下の勘違いが生産性を下げている

日本のホワイトカラーは、労働生産性が低いといわれている。生産性が低ければ、仕事が終わるまでに当然時間がかかるので、残業も多くなる。だから残業を減らしたければ、もっと生産性を上げるしかない。

私は日本企業の生産性が低い理由のひとつに、コミュニケーション能力の問題があると思っている。部下に仕事の指示を出すとき、ほとんどの上司は「Aくん、これを今週中にやっておいて」のひと言で終わらせてしまって、その仕事の内容や目的をそれ以上くわしく伝えようとはしない。

すると指示を受けた部下は、上司の真意をよく確かめもせずに、「たぶん課長はこういうものを求めているんだろうな」と勝手に解釈して仕事に着手する。

そしてそのまま仕事を進めて完成物を提出したところ、上司が求めていたのはまったく違うものであったことが判明し、もう一度最初からやり直すということがしばしば起きる。

日本人は「あうんの呼吸」とか「以心伝心」といった言葉が好きだ。だがビジネスの現場では、こういう考えは捨て去らなくてはいけない。

「言わなくてもわかってくれるだろう」という上司の思い込みと、「相手はきっとこう考えているはずだ」という部下の勘違いが仕事のムダを発生させるからだ。

 

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途中経過を確認するたけで部下の仕事のロスは激減する

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