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インフルエンザにかかりやすい人、かかりにくい人

岡部信彦(川崎市健康安全研究所所長)

2013年10月04日 公開 2020年09月02日 更新

 

マスクや手洗いも予防に有効な方法

さらに、日常生活で実践できる予防をし、二重三重と予防を重ねるのが良いでしょう。

まず、マスクをすること。これは医学的に根拠のある予防方法です。みなさんの世代ですと、お子さんをお持ちの家庭も多いと思います。

ご自身の症状が軽くても、お子さんをはじめ家族にうつったり、またそこから重篤な症状が出たりする可能性があります。周囲の人への感染を防ぐエチケットとしても、マスクを着用してください。

また、手洗いも、感染症全般の予防法として基本的なことです。手にはさまざまなものが付着しますから、目をこすったり、鼻をさわったりすると、病原体が侵入します。

粘膜が乾燥すると、表面がザラザラした状態になります。その結果、細かいほこりやそれにまぎれたウイルスなどの病原体を体外に押し出す力が弱まり、また、これらの病原体が侵入しやすい状態になります。部屋を加湿する、うがいをするなども大切です。

最後に、インフルエンザを発症してしまった場合のことをお話ししましょう。多くの場合、普通の健康状態の人であれば、静かにしていれば自然に治ります。ただ、全快するまでには平均で1週間ほどかかるでしょう。

その時間を短縮するのが抗インフルエンザウイルス薬です。ウイルスの増殖を抑えるので、自然回復に比べて早く熱が下がります。ただし、熱が下がったからといってウイルスも一緒に消え去っているわけではなく、2~3日は人にうつす程度のウイルスが残っていることが稀ではありません。

ほんとうは熱が下がってからも2~3日は静かに様子を見ていただきたいところですが、仕事などで休むわけにはいかないときには、エチケットマスクなどをして、周りの人への気遣いをしていただければと思います。

 

岡部信彦

おかべ・のぶひこ

川崎市健康安全研究所所長

1948年、東京都生まれ。1971年、東京慈恵会医科大学卒業。同大学小児科助手、WHO西太平洋地域事務局(フイリビン・マニラ)伝染性疾患予防対策課課長、東京慈恵会医科大学小児科助教授、国立感染症研究所感染症情報センター長などを経て、2012年より現職。

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