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部下指導のコツ~「きみに任せた」がなぜこれほど部下に嫌がられるのか?

本田有明(本田コンサルタント事務所代表)

2014年04月22日 公開 2022年07月12日 更新

※PHPビジネス新書『上司になってはいけない人たち』より
 

優秀な人材は有能な上司になれない?

ソニーの創業者が指摘した2つのタイプ

 上司の最大の役割は部下の問題解決を支援することだ。金額の多寡は別として、それは給与にも反映されている。

 「その割には大した給与はもらっていない」と反論したくなる人もいるに違いない。総じて人件費が抑制されている時代環境を考えれば、その気持ちは理解できる。が、それでもやはり上司の給与には、部下育成に対する報奨の意味合いが含まれているのだ。

 長く同じ職場に勤めていれば徐々に年収が上がってゆく。それが官民を問わず勤め人の常識のように思われてきたが、よく考えてみれば決して常識とはいえないことがわかる。

同じ仕事をしていて給与が自然に上がるためには、その人の技術なり能力なりが年々向上するという前提がなければならない。右肩上がりの実績があってこそ、給与も比例して右肩上がりの曲線を描く。

 しかし現実はどうだろうか。20代より30代、30代より40代と、私たちの技術や能力は確実に向上するだろうか。

 向上する人もいれば、しない人もいる。そこは十人十色、千差万別というところだが、それでは一律の右肩上がりの給与など望むべくもない。近年は個人成果主義による能力給の要素が高まり、一律とはいえなくなったものの、年収の平均的なカーブを見れば、やはりゆるやかな右肩上がりにはなっているはずだ。

 その上がり分をどう解釈すればよいか。ひとくちにいえば組織に対する貢献度である。はるか昔の成長期の時代には、在職しているだけで貢献と見なされ、それが年功として評価の対象になったが、もはやこの論理は通用しない。評価の対象となるのは、抜きんでた個人の能力か、人を通じて発揮される集団的能力かである。

 そのへんのところを、ソニーの創業者・井深大はこんなふうに指摘した。

 「人間には2種類ある。本人のもっている能力がひじょうに高い人と、本人の能力自体はたいしたことがなくても、人をまとめて大きな仕事ができる人と」(『井深大語録』小学館文庫)

 専門職として他の追随を許さない独創的な仕事をするか、管理職として部下をまとめて「1十2=5」のような相乗効果を発揮するか、ということだ。

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切れ者の上司のもとに部下は育たず

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