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孫正義・25文字の成功哲学

板垣英憲(政治経済評論家)

2014年06月19日 公開 2016年12月08日 更新

「孫の二乗の法則」を活用すれば、どんな壁も突破できる

また孫正義は近年、自ら命名した「孫の二乗の法則」を「孫の二乗の兵法」に改名したようである。「ソフトバンクアカデミア」開校式での特別講義でも、演題を「孫の二乗の兵法」と掲げていた。

先述したように、「孫の二乗の法則」は、もともと「孫子の兵法」をベースに生まれたものである。孫正義は「孫の二乗の法則」を経営で実践し、ビジネス「戦争」を勝ち抜いてきた自信から、「孫の二乗の兵法」と改名したものと思われる。

しかし、この「25文字」は、ビジネス「戦争」に勝利しなければならない経営者やビジネスマンにだけ役立つものではない。

これから人生の荒波に向けて乗り出そうとする若者はもとより、「人生百年時代」を迎えつつある昨今、「第二の人生」を有意義に暮らしていこうと決意している熟年者の生き方にも大いに役立つものだと信じる。何かの壁にぶつかったときや、物事がどうもうまくいかないとき、これを見返せば、「現状突破の鍵」がきっと見つかるからだ。「今の自分に足りないものはこれだったのか!」といったように、大事なことに気づかされることも多いだろう。

すなわち、「孫の二乗の法則」は、もともと経営指針・マニュアルであるが、人生指針・成功法則でもあるのだ。

 

「25文字の文字盤」をコピーして常に持ち歩こう

旅をするのに、スケジュール表や地図や磁石(あるいは羅針盤、ジャイロスコープ)が必携であるように、人生航路においても「計画表」や「指針」が必要である。

この2つのうち、「計画表」は誰でも構想できるものだ。誰でも「夢」を見ることは簡単だからである。問題は、この計画をいかにして実行に移し、実現させるかである。そのための指針が、「孫の二乗の法則」なのである。

試行錯誤を繰り返したり、道草したり、迂回路を通っていったりするのも、それなりに有意義な生き方ではあるけれど、孫正義という先達が積み重ねて鍛え上げて完成した、「涙と汗の結晶」ともいえる「人生指針」「マニュアル」を活用しない手はない

忘れてはならないのは、「25文字の文字盤」をコピーして常に机上に置いておくなり、内ポケットに忍ばせておくなり、女性ならばハンドバッグに携行しておくことである。携帯電話の待ち受け画面やスマ-トフォンの壁紙にするのも良いだろう。

そして、人生のさまざまな局面で大事な判断や決断を求められたとき、ひと息おいて冷静になり、この「25文字」を1字1字チェックしてみるのだ。そうすれば必ずや、「正解」を得ることができるであろう。

もちろん、25文字すべて満たすのは現実的には無理である。孫正義自身が、「全部極めきれているわけではない」と言っている。だから1文字だけでもいい折に触れて見返し、意識するだけでも大きな差がつくはずである。

 

★25文字とその意味★

道 ◆志を立てる
天 ◆天の時を得る
地 ◆地の利を得る
将 ◆優れた部下を集める
法 ◆継続して勝つ仕組みをつくる
頂 ◆ビジョンを鮮明に思い描く
情 ◆情報を可能な限り集める
略 ◆戦略を死ぬほど考え抜く
七 ◆七割の勝算を見極める
闘 ◆勝率七割とみたら果敢に闘う
一 ◆一番に徹底的にこだわる
流 ◆時代の流れを見極め仕掛ける
攻 ◆あらゆる攻撃力を鍛える
守 ◆あらゆるリスクに備える
群 ◆単独ではなく集団で闘う
智 ◆あらゆる知的能力を磨く
信 ◆信頼に値する人物になる
仁 ◆人々の幸せのために働く
勇 ◆闘う勇気と退く勇気を併せ持つ
厳 ◆時として部下に対し鬼になる
風 ◆動くときは風のように素早く
林 ◆交渉は水面下で極秘に
火 ◆攻撃は火のように激しく
山 ◆ピンチでも決して動じない
海 ◆勝った相手を包み込む

 

[新版]孫の二乗の法則
孫正義の成功哲学

板垣英憲 著

ソフトバンク孫正義社長の経営&成功哲学を25文字の漢字で表現した「孫の二乗の法則」。それを私たちの仕事と人生に活かす秘訣とは?

 

著者:板垣英憲(いたがき・えいけん)政治経済評論家
1946年、広島県呉市生まれ。中央大学法学部卒業後、海上自衛隊幹部候補生学校を経て、毎日新聞社入社。社会部、政治部(首相官邸、福田赳夫首相、大平正芳首相などを担当)、経済部などを経て、1985年6月、評論家として独立。以来、記者経験を生かして、執筆・講演活動を精力的にこなす。著書に、『カルロス・ゴーンの言葉』(あさ出版)『政治家の交渉術』(成美文庫)『民主党政変 政界大再編』(ごま書房新社)ほか多数。

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