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部下に仕事を振って“暇”になった管理職…目を向けるべきは「自分の成長」

山本真司(経営コンサルタント)

2012年10月10日 公開 2024年12月16日 更新

管理職になったら、できる部下に自分の仕事を部下に分配していくべきだ。こう語るのは、コンサルタントで『35歳からの「脱・頑張り」仕事術』の著者である山本真司氏だ。

しかし、部下に仕事を任せてしまえば自分は暇になり、会社にとって不要な人材ではないかと感じる人もいる。そういった不安に対し、山本氏は上司として"部下のできない"仕事をし、さらに"自分が成長し続ける"ための活動をしていくべきだとアドバイスをする。

※本稿は、山本真司 著『35歳からの「脱・頑張り」仕事術』(PHP新書)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

暇になると不安になる

私は、できる部下にはマネージャーの仕事をあげてしまえ、領土割譲しろと言ってきた。自分の仕事は楽になるし、部下も喜び、育つから。だが、頭ではわかっていても、現実には難しい。 

キャパオーバーで死にそうなときはドンドン領土割譲するだろうが、問題は、領土を割譲しているうちに、本当に自分が暇になってしまうときだ。暇とは恐ろしいものである。自己否定なのだから。自分が暇でも仕事が回るということは、自分がいらないということだと思ってしまう。

暇だと怖くなるものだ。本当に自分が必要ないということが、いま、目の前の事実で説明されているわけだから。格好良く、さっと帰ってしまうマネージャーもいるが、私は、自信がないのだろう。暇であることを不安視してしまった。

暇ができたのだから、ちゃんと家に帰らなきゃとは思うものの、不安感を抱えて家にいても休まらない。友人から、伸びるためには「打ち込める趣味を持て」と言われるものの、これも駄目。気もそぞろだった。

 

部下のできないことをする

そこで、自分の気持ちに新しい「仕組み」を植えつけた。そして行動した。その結論は、極めて単純明快。「部下のできないことをする」だけだった。

いまの顧客のもっと上のポジションの人に会って、飯を食う。そして、次の仕事の営業の種を蒔く。

社内人脈を作るような活動には、時間をあまり使わないようにした。その代わり、外部のネットワーク作りに時間を使う。「これは!」と思う人とは、昼夜、ビジネスへの道が見えなくても付き合った。そこで、いま手がけているテーマに関する面白い見方を教えてもらったりもした。

ふと気がつくと、結構な人のネットワークができ上がっていた。新しい仕事の最初の仮説作りで、自分ではまるで仮説が思い浮かばないようなときに、そういう人達に電話しまくった。それだけで、仮説ができてしまうことも多かった。

部下もだんだん、私をあてにするようになってきた。「山本さん、ⅩⅩⅩ業界の人と話をしたいんですが。ヒアリングできますかね?」「ああ良いよ。知り合いにその業界の人がいるから」

内向きで、自分の担当の仕事、いま現在担当している顧客にしか目のいかなかった私が外に目を向け始めた。

よく、外部の方々と酒を呑んだ。面白い仲間も増えた。そういう仲間から、新しい顧客もドンドン開拓できた。これは、なかなか楽しい。おまけに、そういう方々からの耳学問で仕入れた知識、知恵を、部下達の仕事に還元できる。

それと並んで、勉強を始めた。40歳になってからの手習いだ。自分の「仕組み」完成のための、分野を限定しない読書に集中する時もあった。

"四十の手習い"は、自分の担当する業界の将来展望や、今後の経営の方向性、私の所属するコンサルティング業界の方向性、将来性、新事業分野の可能性など多岐にわたった。

私もこの当時は、パートナー(一般企業では部長か執行役員相当か?)に昇進していたので、こうした話題は、自分のパートナーとしての仕事にも役に立つ。

パートナーという肩書きながらも、相変わらずマネージャーのように現場を飛び回ることが好きだった私は、暇になったマネージャーが何をするべきか、という問いへの、より自分を納得させられる解答を得つつあった。

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本当にやるべきは、自分が成長し続けるための活動

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