1. PHPオンライン
  2. 仕事
  3. 成功するネーミングは「電車の中吊り広告」から学ぶべき理由

仕事

成功するネーミングは「電車の中吊り広告」から学ぶべき理由

高橋誠(創造開発研究所代表)

2015年05月20日 公開 2022年12月22日 更新

 

車内広告では「中吊り広告」が、最も見られている

電車に乗っているとき、あなたは何をしますか。車内を観察する、寝る、読書する、外の景色を見るなど、いろいろありますね。最近ではスマホ、ケータイを見るという人が多いでしょう。

電車利用者の9割が、電車内の広告を見ているという調査があります(マイボイスコム〔株〕、2012年12月実施)。この調査によれば、どの広告を見るかのトップは「中吊り」が73%、続いて「窓の上」が38%、「ドアの上」が34%になっています。

このように、圧倒的に中吊り広告がよく見られています。そして、よく見る広告は「雑誌」がトップです。つまり、雑誌の中吊り広告が最も見られていることになります。

雑誌、特に週刊誌の中吊り広告は、テレビで「週刊!見出し大賞」として取り上げられるなど、大変注目されています。見出しは週刊誌の売れ行きを左右するので、制作者の血と汗の結晶です。

これもネーミングのヒントとして大変有効ですから、ぜひ車内で気に入った中吊り広告を見て、なぜその見出しが気になるのかを考えてみてください。

 

「中吊り広告の見出し」から、学ぼう

わが社は長年、学習塾・栄光の電車「ドア上」広告の企画プロデュースをしています。

「合格して泣こう」「秋田に学べ」などのキャッチフレーズを、140も企画しました。これらの体験から、車内広告の特殊性とその効果がよくわかります。ポイントは3つです。

第1に車内広告は、短時間で判断されるものです。電車に乗っている時間は長くても、ある広告に目が行く時間は、ほんの一瞬です。

第2に車内広告は、短い表現で商品やサービスの内容を理解させるものです。表現が的確でないと、誤解を生んでしまうかもしれません。

第3に車内広告は、記憶に残りにくいものです。ちょっと見ただけでその場をすぐに離れる人が多く、インパクトがないと記憶されません。

車内広告はキャッチフレーズの宝庫です。だから車内広告は、ネーミング作成に大変役に立つものです。たまにはスマホをいじらず、車内広告をじっくり眺める時間をつくり、印象的な広告をみつけ、味わってください。

 

著者紹介

高橋 誠(たかはし・まこと)

ネーミング開発の草分け会社〔株〕創造開発研究所代表、教育学博士

静岡市(旧清水市)生まれ。東京教育大学心理学科卒、筑波大学大学院修士修了、東洋大学大学院博士終了。創造性開発の日本での第一人者。日本創造学会の理事長、会長を歴任。電通、日テレで教育を開始以来、企業戦略・商品・ネーミング開発、人事・採用・教育等のコンサル・研修等を展開。現在、日本教育大学院大学特任教授。一般社団法人日本起業アイディア実現プロジェクト理事長、NPOエコリテラシー協会理事長、〔株〕アイディアポイント取締役会長、日本創造学会理事。著作は76冊を数える。

関連記事

アクセスランキングRanking