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成功するネーミングは「電車の中吊り広告」から学ぶべき理由

高橋誠(創造開発研究所代表)

2015年05月20日 公開 2022年12月22日 更新

部門名や肩書のネーミングを軽く考えてはいけない

私は年間何百枚も名刺交換していますが、もらった名刺を見たとき、相手の方の所属先がわかりにくい部署名がよくあります。名刺は、その人がどのような仕事・地位の人なのかを表す、基本的なツールです。イメージがわかない名前というのはいただけません。

以前、千葉県松戸市に「すぐやる課」という部門名がありました。通常なら「環境整備課」や「住民相談課」など、ありきたりの名前をつけるでしょう。

でも当時の市長は、職員にお役所仕事をさせないため、このような名前をつけました。これは職員の意識を変えただけでなく、マスコミが大きく取り上げることで、住民の意識も大きく変えました。

広告会社の電通は、営業部の名前に部長の名前を冠しています。「鈴木部」や「佐藤部」などです。これも外部へのアピールと、内部の社員の意欲向上に役立っています。会社や役場などの部門名や肩書も、わかりやすいネーミングが望ましいですね。

 

プロジェクト名やチーム名にも、一工夫がほしい

私はいろいろな会社に伺い、多様なプロジェクトをお手伝いすることがありますが、プロジェクト名やチーム名も、わかりにくいものが多いですね。

シャープは、社長直属のプロジェクトチームを「キンプロ」と略称したことがあります。これは、緊急のキンを冠した名前だそうですが、メンバーが胸につけるバッジは、一般社員とは違い、役員と同じ金色のバッジでした。

これは、チームメンバーのやる気を向上させ、他の社員に刺激となる、とても良いネーミングだといえます。

プロジェクトで行う会議などのネーミングも考える余地があります。ホンダは、大勢で集まって行う創造会議を、皆がワイワイガヤガヤやるということで「ワイガヤ会議」と名づけていました。

「今日、商品開発会議をやろう」と言うより、「今日、ワイガヤ会議をやろう」と言うほうが、参加者のワクワク感が大きくなるでしょう。

会社のさまざまな部門、部屋、時間、チームなどに楽しいネーミングをして、会社をさらに元気にし、社員の毎日をいっそう活気あるものにしましょう。

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著者紹介

高橋 誠(たかはし・まこと)

ネーミング開発の草分け会社〔株〕創造開発研究所代表、教育学博士

静岡市(旧清水市)生まれ。東京教育大学心理学科卒、筑波大学大学院修士修了、東洋大学大学院博士終了。創造性開発の日本での第一人者。日本創造学会の理事長、会長を歴任。電通、日テレで教育を開始以来、企業戦略・商品・ネーミング開発、人事・採用・教育等のコンサル・研修等を展開。現在、日本教育大学院大学特任教授。一般社団法人日本起業アイディア実現プロジェクト理事長、NPOエコリテラシー協会理事長、〔株〕アイディアポイント取締役会長、日本創造学会理事。著作は76冊を数える。

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