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生き方

のんびり、ゆっくり生きるコツ

斎藤茂太(精神科医/随筆家)

2011年08月25日 公開 2022年12月27日 更新

人生には思い通りにならないことがいくつもある。人間関係が上手くいかない時や、他人と自分を比較して、できない自分に落ちこんでしまったとき……。しかし「人生に不幸はない」とモタさんは説きます。どんなときでも「大丈夫!」と思える考え方を「心の名医」モタさんが伝授する。本稿では「のんびり、ゆっくり」生きるヒントを与え、心に栄養を与えてくれる一節を紹介する。

※本稿は、斎藤茂太著『モタさんの落ち込みやすい人に効く55のヒント』より一部抜粋・編集したものです。

 

「人は誰でもしあわせになるために生まれてくる」

私はこの言葉を、毎日を一生懸命に生きているすべての人々に贈りたいと思います。人生にはさまざまな出来事があり、たくさんの出会いがあります。

嬉しいことや楽しいこともたくさんあれば、思いどおりにいかなくてつらいときもあるでしょう。実際にいろいろなことを体験し、乗り越えていくことで、それぞれの人生は充実していきます。

因難に見舞われて落ち込みそうなときには、どうか焦らずに立ち止まってまわりを見渡してみてください。もしもあなたがとてもつらい状況に立たされているなら、ためらわずに休息をとりましょう。

心配しなくても大丈夫、自分のペースでじっくりと乗り越える方法を考えればいいのです。そして元気が出てきたら、またゆっくりと歩きはじめましょう。

パーフェクトでなくてもいいのです。さまざまなことに向き合う過程で得られる、たくさんの収穫を楽しみましょう。そうすれば、いつの間にか因難は過ぎ去り、以前よりも少し成長した自分に気がつくはずです。

人生の成功とは、"振り返ってみたときに「楽しかった」と即答できるかどうか"というのが私の持論です。トラブルは自分を魅力的にするためのチャンスだと考え、日々、ものごとのよい面を探して、人生を面白がって生きましょう。

のんびり、ゆっくり、自分のペースで進んでいってください。そうすれば、きっとあなたらしく充実した人生がひらけるでしょう。

 

休むことで仕事がはかどる

人間の体力や気力、集中力には限度があります。いくらやりがいのある仕事をまかされたからといっても、ずっと気を張って頑張り続けると、いつかはオーバーヒートしてしまいます。

ゴムひもを思い浮かべてみてください。いつも強い力で引っぱり続けていると、切れたり弾力を失ってのびてしまいます。人間も一緒です。気がつかないうちにたまっている心身の疲れは、ときどき解消する必要があります。

仕事に追われて緊張している最中は、疲れに鈍感になっています。はじめは、軽い肩こりや目の疲れ程度だった疲労も、ほうっておくと、気がついたときには、動けないほどのひどい倦怠感になっていたりします。

体だけでなく、心にも疲労がたまります。毎日がむしゃらに働いていると、自分の心の中を見つめ直し、整理する余裕がなくなります。悩みや迷いがあっても、それを人に聞いてもらう時間ももてません。これらが極限まできて抑うつ状態になる前に、こまめに休息を取ってください。

仕事中も、1、2時間おきに5分程度の休憩をもうけ、体と気持ちの緊張をリセットしましょう。週末はきちんと休み、趣味を楽しんだりして頭の中から仕事の心配ごとを追い払うべきです。

上司や同僚に遠慮をして、なかなか休みが取れない人もいるかもしれません。しかし、それでのちのちあなたがダウンしては、もとも子もありません。

実際に、休息を取りながら仕事をすると、そのほうが効率もあがり、内容も充実することを実感するでしょう。ためらわずに休み、自分の心身をいたわることが、仕事の成果につながります。

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