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戦後体制から脱却する「新しい日本人」

日下公人(評論家/日本財団特別顧問)

2017年01月12日 公開 2022年10月13日 更新

 

「新しい日本人」の台頭がはじまる

「国際連合」と日本語に訳された組織の正体

「新しい日本人」は、国際社会の現実をしっかり見ようとする人たちである。

日本には一時期の小沢一郎氏のように、国家の安全保障などの政策を国連との整合性を中心に組み立てようという「国連中心主義」を進めようとする人々もいる。

そもそも「国際連合」と日本語に訳された組織の正体は何か。

「United Nations」という英名のとおり、第二次世界大戦の「連合国」のことで、大戦終結の昭和20年(1945)の創設から、安保理(安全保障理事会)の常任理事国の座を占める米英仏露中の“戦勝国クラブ”を中心に、基本的に「戦後体制=戦勝国の優位」を事実上維持してきた組織である。

国連憲章は「われら連合国の人民は~」で始まる。「われら人類」でもなく「世界人類」でもない。仲間内は「連合国の人民」なのである。

連合国と戦った日本は、昭和31年(1956年)12月に国連加盟後、その分担金を米国に次いで負担しながら、いまだに「旧敵国」の立場に置かれている。それを規定した国連憲章の53条と107条を簡潔に説明すると、旧敵国が加盟国の安全を脅かす行為を起こした場合、連合国によって構成された地域的な機構が安保理の許可がなくても独自に旧敵国に対して強制的な行動を取ることを許可しているのが53条、戦勝国が旧敵国に戦争の結果として結んだ協定などは国連憲章のあらゆる規定に優越するとしているのが107条である。

国連憲章上は、今日でも「第二次世界大戦の結果としてとる行動」の範囲内であれば、加盟国や地域の安全保障機構は安保理の許可を得ることなく「旧敵国」に対して自由に制裁(武力行使)ができるということだ。

問題なのは、「第二次世界大戦の結果としてとる行動」が何かが曖昧で、事実上、連合国側の恣意に委ねられていることである。国連分担金第2位の日本に対して、こうした処遇をしているのが国連の現実であることをマスメディアは伝えない。

さすがに削除すべきとの意見もあり、これまで何度か「削除を決意する」という採択がなされたが(たとえば1995年12月に国連総会で行われた改正手続きの決議は賛成155、反対ゼロ)、採択を批准した国数は効力発生に必要な加盟国の3分の2に届かない。日本への差別は事実上放置されたままである。戦後の国際社会を公平に運営するよりも戦勝の果実を維持することが国連(連合国)の本音なのだと見なすほかない。

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安倍晋三氏には“新しい国連”の発想がある

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