※本記事は、石原結實著『病気のサインを見逃すな!』(PHP文庫)より一部を抜粋編集したものです。
自分でできる健康診断―耳たぶにシワがある
耳と心臓は形も似ており、発生学的にも近い存在とされていますが、シカゴ大学医学部の助教授だったウィリアム・J・エリオット博士が「耳たぶと心臓病」に関する面白い研究を発表しています。
54~72歳までの108人を8年間調査したところ、「耳たぶにシワのある人」が心臓発作などの心臓疾患で死亡した件数は、「シワのない人」の3倍になることがわかりました。
熱いものに手指を触れた時には、反射的に指で耳たぶをつかむものです。耳たぶを走行している血管(動脈)が少ないために、耳たぶは冷たいからです。
体内の動脈の硬化が進んでくると、当然、耳たぶの中を走っている動脈の硬化も進んできて、血流が悪くなります。もともと、動脈の数が少ない耳たぶですから、血流が悪くなると耳たぶ内の脂肪はいち早く栄養不足によって萎縮してくるので、シワになるのです。
35歳くらいからあらわれてくるとされる耳たぶのシワですが、シワが目立つ人は次のような症状が起こってくる可能性があります。
・動脈硬化→心臓の筋肉へ栄養を送っている冠動脈の動脈硬化→狭心症→心筋梗塞
耳たぶのシワは、これらの予兆と考えて、発作が起こる前に予防策を講じる必要があります。
「1日1万2500歩以上歩く人には、狭心症や心筋梗塞は起きない」という研究もあるので、日頃、ウォーキングを励行されるとよいでしょう。
ドイツ人とフランス人の年間の動物性脂肪(肉、卵、牛乳、バター、マヨネーズ……)の摂取量は、ほぼ同じなのに、心筋梗塞の発症率は、フランス人はドイツ人の4分の1だといいます。これはFrench Paradox(フランスの矛盾)といわれています。
フランス人が愛飲する赤ワインの中の紫色の色素(レスベラトロール)の抗酸化作用による抗動脈硬化作用のお陰だとのことです。焼酎も血栓を溶かす酵素ウロキナーゼを活性化します。日本酒換算にして2合(ビール大びん2本、ワイングラス2~3杯、焼酎水または湯割り3~4杯)までが適酒とされて、抗動脈硬化作用を発揮します。