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耳たぶにあらわれる動脈硬化、糖尿病のサインとは?

石原結實(医学博士/イシハラクリニック院長)

2017年10月24日 公開 2022年09月15日 更新

耳たぶの下の方の腫れ

私が医学生だった45年以上前の長崎大学医学部・第一内科の高岡善人教授(東大卒)は、すい臓をはじめ、内分泌(臓器)学の権威でいらっしゃいました。

同教授が、臨床講義や外来の実習の時、「耳たぶの下の方が膨らんできている中年以上の人は、糖尿病の可能性が大である」といつもおっしゃっていました。

耳下腺は消化酵素の「アミラーゼ」を産生する点などで、すい臓と似たような働きをします。したがって、すい臓のβ細胞から分泌される「インスリン」の不足で起こる「糖尿病」が発症すると、「すい臓の働きを助けるために、代償性に、耳下腺が腫れてくる」というのが、高岡教授のご見解、ご主張でした。

今、糖尿病予備軍を含め、2000万人以上の糖尿病患者が日本に存在します。当然、日常的に糖尿病の患者さんを診療する機会も多いですが、確かにほとんどの糖尿病の患者さんや糖尿病になりかけ(予備軍)の人の両耳下腺が腫れていることに気づきます。

インスリンは人体を構成する約60兆個の細胞に、その活動源として、血液中の糖(血糖)を押し込む働きがあります。つまり、インスリンの分泌不足が起こると、血糖が細胞に十分に押し込められずに、血液に残り(高血糖)、糖尿病が発症するのです。

20~40代では体重の約40%が筋肉で、その約70%が臍より下の下半身に存在します。血糖の最大の消費器官が筋肉です。糖尿病になる人、なりかけている人は、躯幹(胴体)に比べて、妙に手足(とくに下肢)が細い、という特徴があります。その結果、筋肉細胞内での血糖の消費量が減少し、糖尿病に罹りやすくなるのです。したがって、糖尿病の予防・改善には「過食を慎む」ことと、筋肉、とくに下肢の筋肉運動を励行することが肝要です。

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