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生き方

恋愛に失敗する人の勘違い アドラー心理学から哲学者が考える恋愛論

岸見一郎(哲学者)

2018年05月10日 公開 2022年08月08日 更新

 

「自信を持つ」ことと「ポジティブになる」ことの違い

――自信を持つといっても、急に自分を変えることはできないのではないでしょうか。

多くの方が誤解しているようですが、自信を持つというのは、ポジティブになることではありません。

私は「自己肯定」と「自己受容」という言葉を区別して使っています。現実からかけ離れたことを追い求めるのを自己肯定と呼びます。
たとえると「友達100人できるかな」「誰からも愛されるようになる」などです。他方、自己受容は現実をありのままに受け入れることです。「こんな自分を愛してくれる人が一人くらいはいるはずだ」と。

自信を持つとは、自己受容ができるようになるということです。
自分を過剰に評価することも、卑下することも、どちらも自己受容ではありません。ありのままの自分を見ていないからです。

「私は暗いといわれます。そんな自分を変えたい」という方がカウンセリングにいらっしゃいます。しかし、ある日突然、暗い人が能天気な人になるのが「変わる」ということではありません。

私はこういいます。
あなたは自分の言動がどう受け止められるかをいつも意識しているでしょう? だから、故意に人を傷つけたことはないでしょう? あなたは自分のことを「暗い」といわれるけれども、「優しい」のです。

その人が自分のことを「自分は暗いのではなく、優しいのだ」と思えたら、その瞬間に変われている。これが自己受容です。

自分がすでに持っているものを違う見方で見る、違う言葉で形容するというふうに考えてみてください。大切なのは、何が与えられているかではなく、与えられているものをどう使うかです。

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嫉妬する人は、相手が自分の愛していないことの証拠を探そうとする

著者紹介

岸見一郎(きしみ・いちろう)

哲学者

1956年、京都府生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程満期退学。専門の哲学(西洋古典哲学、とくにプラトン哲学)と並行して、89年からアドラー心理学を研究。精力的にアドラー心理学やギリシア哲学の翻訳・執筆・講演活動を行なう。著書に『アドラー心理学入門』(ベスト新書)やベストセラーとなった『嫌われる勇気』(ダイヤモンド社)など多数。

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