ピタゴラスが発見した「音楽」と「数字」の意外な関係
2018年06月05日 公開 2024年12月16日 更新
「万物は数である」……古代ギリシャでのある発見
あの「ドレミファソラシド」を発見したのが、ギリシャのピタゴラスだということをご存じだろうか。しかも、それは音楽というよりも「数学」としての発見だったという。一見、まったく関係のないように見える「数字」と「音楽」とは実は密接に関わりあっている。東大、JAXAを経て人気数学塾塾長を務める永野裕之氏がその秘密を説く。
ピタゴラスと「完全」音程との出会い
「ドレミファソラシド」といういわゆる音階を最初に発明したのは誰だかご存知でしょうか? それは「ピタゴラスの定理」でも有名な古代ギリシャのピタゴラスです。ピタゴラスが音階を発明するきっかけになったのは鍛冶屋でした。
ある日、散歩中に鍛冶屋の近くを通りかかったピタゴラスは、職人がハンマーで金属を叩くカーン、カーンという音の中に綺麗に響き合う音とそうでないものがあることに気づきました。
これを不思議に思ったピタゴラスは鍛冶屋職人のもとを訪れ、色々な種類のハンマーを手に取って調べ始めました。ピタゴラスはやがて、綺麗に響き合うハンマーどうしはそれぞれの重さの間に単純な整数の比が成立することを発見します。中でも2つのハンマーの重さの比が2:1の場合と、3:2の場合は特に美しい響きになりました。
人間が自然に美しいと感じる響きの中に単純な整数の比が潜んでいるという意外性や簡潔さに惹かれたピタゴラスと弟子たちは、その後音階を熱心に研究するようになります。