管理職だけがすべての決定を行う組織は衰退する
2018年07月18日 公開 2024年12月16日 更新
<<日本では今、少子高齢化による人口減少により労働者の高齢化、多様化が進み、人手不足という大きな「変化」の波が訪れている。この変化の時代、グローバル企業はもちろんのこと、国内企業でもグローバル人事の考え方を取り入れるべきだと提唱するのが南和気氏だ。
コンサルタントとして200社を超える日本企業でグローバル人事の導入に関わり、自身も所属する企業のグローバル化を人事として推進してきた南氏に、グローバル人事とはいったいどのようなものかを聞いた。>>
日本の人事が変えるべき3つのポイント
これからの日本はどんどん労働力不足になっていきます。この状況を受け、外国人労働者の積極的な雇用についても議論が進んでいるところです。
今後は国内企業においても、人材が多様化するなかで、戦略的に人を育て組織を生かすグローバル人事の考え方を取り入れていかなければ、迫りくる「変化」の大波を乗り越えることはできません。
また、今後もITや輸送網の発達が続いていけば、近い将来、規模の大小を問わず、さらに多くの日本企業がグローバル市場に進出するようになっていくことでしょう。もう他人事ではないのです。
日本企業のポテンシャルは、海外企業に見劣りしないものがあります。ただ一つ、残念な部分があるとすると、それは「人」、特にグローバル人事にかかわる部分です。
日本企業は「変化」に合わせて、グローバル人事に切り替えていく必要があるでしょう。
私は、日本企業がグローバル人事に挑戦する際、どうしても変えざるをえない人事の考え方として、次の3つがあると思っています。
●結果人事→計画人事
日本企業の人材育成システムは、基本的に年次管理で、同期が横並びで上がっていき、長い時間をかけ、一定の年齢になったときに結果的にリーダーらしい人が育つのを待つ、というシステムです。
しかし、そうしたやり方では、事業戦略に合わせてその戦略実行に必要な若手リーダー人材を選抜して育成する、といったことができません。
グローバル人事では、目指すべき人材の配置計画に基づいて、必要な価値に合った人材の育成を計画的に行う必要があります。特にグローバルで活躍できるリーダーを育てるには、若いころから様々な経験を意図的にさせて、育成や人材配置を行わなくてはなりません。
●主観人事→客観人事
日本企業では、上司や組織の主観による人材評価が重んじられている傾向がまだまだ強く、上司との相性や上司の見方によって評価の違いが出やすいところがあります。
しかし、グローバル人事の場合は、様々な国や地域の多種多様な人材を評価するため、客観的な共通指標に基づいた評価を行う必要があります。
●密室人事→透明人事
日本企業では、多くの場合、人事異動は密室で決められます。大企業では、人事異動の時期になると1週間ほど人事部が部屋にこもり、異動候補者の名刺を壁一面に貼って異動案を練るといった話も聞きます。
しかしグローバル人事においては、人事異動を密室で決め、決定についての説明もなく辞令を出すなどということはありえません。評価や処遇の決定プロセスを明らかにするなど、公正なルールに基づいた透明性の高い人事が求められます。