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ビットコインの本当の評価。欧米では邪悪な存在、日本では夢の通貨

中島真志(麗澤大学教授)

2018年08月08日 公開 2018年08月20日 更新

 

Mt.GOX事件以降も盗難・流出事件は月1ペース

ビットコインの問題の1つめは「盗まれたり、なくなったりする」ということです。

2014年3月、日本で「マウント・ゴックス事件」が起こりました。東京にあったマウント・ゴックスという取引所が、突然、取引を中止して、破綻したのです。

当時、マウント・ゴックスは7割という圧倒的なシェアを占める、世界最大のビットコイン取引所でしたから、インパクトはかなり大きかったのです。

事件当初、マウント・ゴックスのマルク・カルプレス代表は「ビットコインがなくなりました」「外部からハッキングされました」と発表しましたが、この社長はのちに業務上横領の疑いで逮捕されています。

この時はまだ、「ビットコイン擁護派」の意見が強かったと思います。つまり、「これは、1つの取引所のセキュリティの問題であって、ビットコインの問題ではない」という論調が目立ちました。

ところが、事件はマウント・ゴックスだけでは終わりませんでした。

その後も、盗難・流出事件が相次いでいます。仮想通貨の世界ではコインが流出することを「GOXする」などといいますが、けっこう頻繁にGOXしているんですね。

2016年8月には、ビットフィネックスという香港の大きな取引所で、75億円相当のビットコインが流出しました。

また2017年12月には、韓国のユービットという取引所もハッキング被害にあい、破産に追い込まれています。

2018年に入ってからも相変わらずです。1月には日本でコインチェック事件が起こり、580億円相当という巨額の仮想通貨が盗まれました。2月にはイタリアの取引所ビットグレイルから「ナノ」という仮想通貨が200億円分、流出しました。

ほとんど月に1回のペースで、世界の取引所のどこかで盗難・流出事件が起きている状況です。

こうした状況をふまえると、確かにビットコイン自体の安全性は破られてはいないものの、ビットコインの保管や流通を含めたシステム全体の安全性には課題があるとみたほうがいいと思います。

われわれは、銀行に預金を預けたり、証券会社に株式を預けたりしています。それが時々なくなったり、流出したりするとは思わないので、安心して利用することができます。

ビットコインの安全性は、そこまで達していない。これが問題点の1つ目です。

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ビットコインが「闇サイト」御用達の決済手段に

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