【角田陽一郎】明石家さんま、西野亮廣…運がツキまくっている人の共通点
2018年10月17日 公開
「相手の想像力」を想像せよ
――『運の技術』には想像力や洞察力が大事だと書かれていました。運を開くには想像力が大事なのはなぜですか。
想像力とは、相手がどう考えているかを最小の情報で理解する力。他人より少ない情報で状況を理解するので、その分仕事も進めやすく、他人より運を開く力が強くなります。周囲も「あの人には、いちいち説明しなくても任せておけば大丈夫」と信頼してくれる。だから、大きな仕事がどんどん任されるようになります。
僕は誰かに仕事を頼むときは、相手の想像力を想像するようにしているんですよ。「この仕事やれますか?」と聞いて、「やれます!」って簡単にいう人、いますよね。でも結局途中でできない、となることもしばしば。
それは本人の希望と現実にギャップがあるから。 何か実現させたいものがあるなら、その実現までの過程をいかにディテールまで想像できるか。この想像力こそが、運を開ける人の共通項だと考えています。
タンザニアの人々は「運の技術」をすでに体現していた?!
――運というのは自分の中で閉じるものではなく、外部の人やものを取り込んでいくことが必要だと書いていましたね。
そうそう、まさにそれを体現しているのがタンザニアの人たちの生き方です。2018年5月に、文化人類学者の小川さやかさんとトークイベントでご一緒する機会がありました。彼女の専門であるアフリカ研究のお話のなかで、“Living for Today(その日暮らし)”という考え方が、かなりインパクトがあって。
タンザニアでは、貸し借りの清算をあえてしないのが慣習だそうです。たとえばAさんがBさんからお金を借りたとしましょう。Aさんはまとまったお金を用意できても、Bさんには返さない。
なぜなら、返済するとそこで関係が終わってしまうから。万一Aさんが大病にかかったとき、返済がまだならBさんはAさんを助けようとするわけです。だってBさんは貸したお金を返してほしいから(笑)。
――すごい発想ですね! 思いやりがあるのかないのか(笑)。
しかもBさんは、次はCさんにお金を貸したりして、どんどん関係のネットワークが広がっていくそうです。これって僕ら日本人の多くがやっていることと真逆だと思いませんか?
たいていは、高学歴や給与の高い仕事を得ようとしたり、万一に備えて貯蓄したり保険に入ったりしますよね。これって、将来自分が孤独になっても、どうにか生きられるようにする防衛手段みたいなもの。見方を変えると、ある意味、ネットワークで支え合うのを拒否しているともいえます。
でも、タンザニアの人々のように、他人をどんどん巻き込んでいって、「運贈り」をしていくような生き方のほうが、自然の摂理に合っている気がしませんか。来たボールを別の人にパスしていくと、その軌跡が渦になっていく。名づけて「ヴォルテックス(渦)・マネジメント」。
詳しくは『13の未来地図』(ぴあ)に書きましたが、この渦に身を任せたり、あるいは自分が渦になって人を巻き込んだりできる人に、人が集まってくる。そして、集まった人が運をもたらしてくれるんです。