世界で加熱するローマ法王人気 日本人が知らない「フランシスコ効果」
2018年12月25日 公開 2019年04月03日 更新
ローマ法王フランシスコ(右)と謁見する在バチカン元公使の徳安茂氏
<<日本人にはいまひとつ実感が薄いのが世界各国におけるローマ法王の人気だろう。実はほぼ毎日のようにローマ法王の動静がメディアを通して伝えられている国は少なくない。
特に現ローマ法王フランシスコの就任後はその人気はさらに加熱しているといい、同じく大きな支持を集めた先々代のヨハネ・パウロ二世を超える勢いだという。
本稿では、元外交官で前バチカン大使の徳安茂氏の著書『なぜローマ法王は世界を動かせるのか』より、フランシスコの人気ぶりを記した一節を紹介する。>>
※本稿は徳安茂著『なぜローマ法王は世界を動かせるのか』より一部抜粋・編集したものです
まるでロックスターのコンサート!? 圧倒的人気を誇るローマ法王
日本ではあまり知られていないが、欧米、とくにカトリック系諸国のメディアでは、ほぼ毎日のように法王の一挙手一投足が報道されている。
私はローマ滞在中、NHK国際放送をはじめ、世界のニュース番組を視聴できるスカイ・ニュースというシステムを利用し、各国の報道を観ていた。
イタリアの各番組はもちろんのこと、BBCワールドニュース(英国)、フランス24(フランス)、CNN(米国)、ドイチェ・ヴェレ(ドイツの英語国際放送)、さらにはアルジャジーラ(カタールの英語国際放送)、RT(ロシアの英語国際放送)などにおいても、頻繁にローマ法王の日々の言動が報じられていた。
私もよく目にした光景であるが、毎週水曜日に行なわれる恒例の一般謁見や毎週日曜日昼の「お告げの祈り」の際などには、世界各地からやってくる信者たちでバチカンの南東部に位置するサン・ピエトロ広場が埋まり、まるでロックスターによるコンサートでも始まるのではないかと思わせるような熱気で溢れるのである。
ちなみに、一般謁見は、法王を間近に見られる最前部の席は別として、誰でも自由に参加できる。事前の許可も予約もいらない。
パリのエッフェル塔の下は、いつ行っても国際観光客の姿でいっぱいだが、毎週水曜日のサン・ピエトロ広場は、それをさらに拡大し、密度を高めたような様子だ。