最速の処理はどちらか?「届いたメールは即返信」と「後でまとめて」
2019年01月25日 公開 2024年12月16日 更新
<<人生が100年に延びたからといって、私たちに与えられた時間が有限であることは変わらない。その限りある時間をいかに有意義に活用するのか。これはとても大切なテーマである。
今回は、「働き方改革」や「生産性向上」といった課題を背景に、企業における教育ニーズが高いテーマである「タイムマネジメント」について、具体的かつ実践的に解説する。
効率だけがすべてではないというタイムマネジメントの極意とは何なのか、ぜひ参考にしてほしい。
大手企業を中心にビジネススキルを軸とした人財育成を手掛けるHRインスティテュートのコンサルタントによる連続講座「人生100年時代を生き抜くためのビジネススキル講座」より、「第3回ーー最少の時間で成果を最大化するタイムマネジメント力①」を紹介する>>
※本稿は、2018年7月〜9月に天狼院書店「Esola池袋店」で実施された講座を基に構成されたものです。
タイムマネジメントは「時間の管理」ではない
15年以上にわたり、企業研修やコンサルティングの現場で様々なビジネススキルを教えていますが、その中で最も日常への影響力が大きいと感じているのが今回お伝えする「タイムマネジメント」です。
はじめに、なぜタイムマネジメントが最も影響力が大きいと感じているかについてお伝えします。
私たちの人生の時間は、刻一刻と「終わりの時」に向かって減り続けています。その意味からも、時間とはすなわち「命」だと言っても過言ではないでしょう。
ということは、タイムマネジメントとは命をマネジメントすることにほかなりません。
こういうと大げさに聞こえるかもしれませんが、それほど重要なテーマであると考えています。
ではタイムマネジメントとは何でしょうか? 何を管理することなのでしょうか?
直訳すると「時間管理」になります。
しかしながら、タイムマネジメント力を高めることを目的とするならば、「時間」を管理するという考えは捨てて、時間を費やす「出来事」を管理する、と考えるほうが効果的です。
「時間」という器(うつわ)は変わらない中で、どのような「出来事」でその時間の器を占めるか。
出来事の中には、望んでするものも、望まないでするものも含まれます。
できるだけ自らが望んだ出来事で時間の器を占めることができたほうが、人生や仕事は有意義になると感じませんか?
つまりタイムマネジメントとは、時間を管理する方法ではなく、限られた時間の中で、自らが意志をもって「出来事」を管理する方法といえるのです。
では、具体的に私たちはどのような出来事に時間を費やしているでしょうか?
1日や1週間を振り返ってみればすぐに判明しますね。
ビジネスパーソンの日常における出来事とは、主に仕事・業務を指します。例えば、資料を作る、プレゼンする、メールを読む、飲み会に行くなど、これらはすべて一つひとつの出来事と言えます。
さらには、トイレに行く、怒られる、叱る・注意する、クレームに対応する……といったそれぞれも出来事と言えるでしょう。
私たちの身の回りに起こるこれらの様々な出来事をどこまでコントロールできるかというのが、タイムマネジメントのポイントとなります。
自分の意志で、望む出来事を増やし、望まない出来事を減らしていく、という行為です。
時間というものは常に一定のスピードで流れているものであり、私たちにはコントロールできません。
ですが、その同じ時間の中で何をおこなうのかについては、自分でコントロールすることが可能です。
そういう意味で、なるべく無駄な出来事は生じさせないという点に強くこだわらなければなりません。
このこだわりが弱い場合には、本来自分が時間を費やしたいと思っていない出来事に時間を奪われてしまい、本当に時間を費やしたいはずの出来事に時間を注げないという事態を招いてしまいます。
では具体的にどのようなことを日常で意識すべきでしょうか?
簡単な例をあげてみましょう。
例えば仕事中にメールが1通届いたとします。
返信するまでの間に、あなたはそのメールを何回読むでしょうか?
メールが届いたその場で返信する場合には、「メールを読む」→「メールを返信する」の2つの出来事で完了します。
しかし、その場で一旦読んだうえで、「ああ、面倒くさいな。後で返信しよう」という考えが働いてしまったら、後になってメールを返信しようとする際に、その時点でもおそらく「メールを読む」という出来事が繰り返されます。
すると、「メールを読む」→「メールを読む」→「メールを返信する」と、本来2つで済んだ出来事が3つに増えていることになりますよね。
このようにして出来事はどんどん増えていき、その分、時間は奪われていってしまうのです。