<<日本の大人にはアウトプットが不足している。偏差値偏重の詰め込み教育、インプット重視の教育を受けてきた世代、つまり今の30代後半~40代より上の世代は、インプットにだけは長けた人が多い。
職場など周りを見渡しても、目につくのはインプットには興味津々、熱心な一方で、アウトプットが足りていない人間ばかりなのではないだろうか。
しかし、アウトプット不足は、損をする。自分の考えをアピールできない、才能の発見が遅れる、SNSの活用についていけない……など、せっかくインプットした情報を価値あるものにできずにこれからを過ごしていくことになってしまう。
『黄金のアウトプット術』を上梓し、ノンフィクション書評サイト「HONZ」を主宰する著者が、アウトプットの基本であり最も簡単な「書くアウトプット」について3つのコツを語る。>>
社会人が書くべき文章は「紹介文」
私がアウトプットの基本に据えるのは文章を書くことだ。もちろん、日本語で書くことだ。日本人にとってこれほどイージーなアウトプットはないはずだ。
なぜなら、詰め込み教育時代でも、国語の授業では、アウトプットのためのテクニックを身につける時間が設けられてきたからだ。
日本の義務教育を経験しているということは、文章の基本は身についているということ。もうこれ以上、文章術を学ぶ必要はない。
だから、文章上達のための本など読まなくてよろしい。
分厚いものは絶対にいけない。文章を書くにはこんなに守らなければならないルールがあるのかと、うんざりすることになるか、上手い文章を書きたいという欲が大きくなりすぎるか、どちらかになるからだ。インプットはもう、十分だ。
さて社会人が書くべき文章、また、求められる文章とはどのようなものかというと、ズバリ、紹介文だ。何かを紹介するのだから、何を書いていいかわからないということはないはずだ。
私は、小中学校で書かせる読書感想文も、「読書紹介文」として、どう思ったかよりも、どんな内容だったかの説明をさせるほうがアウトプットのトレーニングになるのではないかと思うのだが、教育がそうなっていない以上、この部分は自分で練習する必要がある。
しかし恐れることはない。紹介文は誰にでも書ける。才能がなくてもある程度のところまでいく。ただほんの少し、テクニックが必要なだけだ。
この紹介文が上手く書けるようになるだけで、世界はグンと広がる。自信をもって、SNSで自由に情報を発信すればいいし、ビジネスでプレゼンや企画書に活用すればいい。また自分の文章そのもので直接的にお金を稼ぐことだってできるかもしれない。
これからの時代、アウトプットをしながら生き残っていくためには、まず「書ける」ことが大前提になる。