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最速の処理はどちらか?「届いたメールは即返信」と「後でまとめて」

三坂健(株式会社HRインスティテュートシニアコンサルタント)

2019年01月25日 公開 2023年02月07日 更新

垂直思考とタスクシフト

では「出来事あたりの時間を短縮する」という観点で、さらに具体的な手法についてお伝えしていきます。

人が不足している現場が多い中、仕事の進め方は一人が複数の業務を担当するマルチタスクが一般的になっています。

様々な業務を同時に進めていかなければならない中でおすすめなのが、「垂直思考」と「水平思考」を使い分ける、ということです。

「垂直思考」とは時に「常識にとらわれ一定の枠から抜け出すことのできない硬直した思考方法」と否定的な評価をされますが、ここでの考え方としては「同じことを連続してやり続ける」「一つのことを垂直方向に深掘りする」という意味で捉えて頂ければと思います。

例えばExcelの表作りが目の前のタスクだったとしたら、15分とか30分とリミットを設定し、その間はひたすらその作業のみをやり続けます(垂直思考)。

同じ作業は集中して行うことにより効率が高まります。
それが終わったらまた別の作業、さらに別の作業へと移るといった形で水平的に展開していきます(これを水平思考またはタスクシフトと呼びます)。

集中が切れたら他のタスクに移る、という点がポイントです。

同じ作業に飽きたらタスクシフトする。そしてまた垂直的に取り組む。
これを繰り返すと、集中が切れてダラダラと同じ仕事をやる、という状況を避けることができます。

すると一つひとつの作業にかかる時間はほぼ確実に短縮できます。
ポイントは、集中が切れた際にシフトできるタスクを明確にしておくこと。そしてダラダラと惰性で続けるのではなく、さくっとシフトさせていくということです。

こうした仕事の進め方で気をつけるべきなのが、メールやチャットへの対応です。

今ではメールだけでなく、LINEなどの様々なチャットツールを業務上のコミュニケーションに用いている場合も多いと思います。

これらのアプリ等で、メッセージが届いた場合にポップアップで画面に表示するような設定にされている方もいるでしょう。

しかし、せっかく集中して何らかの作業を進めている最中にそのポップアップ表示に反応してしまうと、その瞬間に思考の生産性は一気に下がってしまいます。

わずかな時間だと思うかもしれませんが、メールやメッセージは日に何通も届くでしょうから、その積み重ねは軽視すべきではありません。
これを避けるために、集中して作業している時にはメール等に反応せず、後で読む時間を設けてそこでまとめて処理するようにしましょう。
 

「どうにかできそうなこと」に集中する

加えて、出来事を自分でコントロールするためには「不必要な出来事を生じさせない」という点に強いこだわりを持つことが重要です。
仕事で不必要な出来事というのはたくさんありますが、その中でも見えにくいのが「悩む」という出来事です。

「悩む」という状態は気づかないうちにかなりの時間を消費します。
仕事上で難しい問題に直面し、ああでもない、こうでもないと頭を悩ませ、気づいたら1日経っていた……なんていう経験はないでしょうか。

当然、仕事でまったく悩まない人よりは、ある程度は悩む人の方が印象がいいとは思いますが、悩みすぎて時間を浪費するのはタイムマネジメントの観点からは問題です。

この状態を回避するには、「悩む」ことと「考える」ことの違いをきちんと把握しておくのが効果的です。

「悩む」と「考える」は一見同じように捉えられるかもしれませんが、似て非なるものです。

悩んでいる状態とは、自分なりの目的や目標が曖昧で、「どうにもならないこと(関心領域)」に関心を奪われている状態と言えるでしょう。
一方で考えている状態とは、自分なりの目的や目標が明確で「どうにかできそうなこと(影響領域)」に思考を向けて、行動している(影響を及ぼしている)状態です。

私の周囲でも出来事の管理が上手い=タイムマネジメントが得意な人は、アンコントローラブルな(自分だけではどうにもならない)状態を嫌う人が多いように思います。

つまり、自分ではどうにもならない状態についてはそのまま放置するのではなく、なんとかできる状態に持っていこうと様々な工夫をおこなっているのです。

悩んでいる状態をそのままにせず、いち早く「自分でどうにかできそうなこと」を見出して行動することが、出来事をコントロールする上で大切といえます。

以上、今回解説した項目の中から、何かヒントを見出していただき、出来事をコントロールして、タイムマネジメント力を磨いてもらえたら幸いです。

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