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50代が"バブルの恩恵"と引き換えに突きつけられた「過酷な現実」

江上治

2019年03月04日 公開 2022年03月10日 更新

著名アスリートから経営者まで年収1億円を超えるクライアントを50名以上抱える富裕層専門のファイナンシャルプランナーである江上治氏。

1967年生まれの50代の江上氏は、元々は外資系保険会社の凄腕営業マン。起業後も、保険営業を中心としたFP事務所を設立し、著書もベストセラーとなるなど活躍を続けている。

そんな江上氏は、現在の50代が直面されている現状は厳しく、ゆとりある人生を送るためには生き方を変える必要があると主張する。

ここでは、同氏の近著『一生お金に嫌われない生き方』より、50代が突きつけられている現実を語った一節を紹介する。

※本稿は江上治著『一生お金に嫌われない生き方』(PHP研究所刊)より一部抜粋・編集したものです
 

昔の50歳といまの50歳は違う

いまの50歳前後、つまり昭和40年代前半に生まれた人たちは、ある意味、一番哀しい世代なのだ。かつて日本には、社会が用意してくれた「幸せになる」ための方程式があった。

「会社に就職して、その会社で定年まで働く。会社のためにガムシャラに働けば、定年後は豊かで穏やかな老後が待っている」というものだ。

いまは違う。会社で定年まで勤め上げても、豊かで穏やかな老後を過ごせるとは限らない。

なかでもギャップが激しいのが、いい大学を卒業し、大手企業に就職した人たちだ。私は昭和42年生まれで、卒業後、大手損害保険会社に就職したが、当時、つまり1990年はまさにバブルの真っ盛りだった。

その前年末に日経平均株価が4万円近くになり、おかげで当時の50歳前後の人々は資産がたっぷり増えた。

彼らが20~30歳だった1960年頃の日経平均株価は1100円程度だったから、若い頃から「従業員積立」で会社の株を買っていたら、資産は2~3倍に増えたはずだ。トヨタの社員ともなれば、10倍ぐらいに増えただろう。

金利も6パーセント前後で、銀行に預金しているだけで資産は自然に増えた。定年後も、企業年金や厚生年金を潤沢に受け取れた。

これがかつてのエリートたちの姿で、会社の奴隷のように働きながらも、それに見合う報酬がもらえたのだ。彼らは、いわば"逃げきり世代"だ。

一方、われわれの世代になると、様相は大きく変わる。まず株価だ。私が入社した頃がピークで、以後どんどん下がり続けた。入社時分から株を買っていても、マイナスにしかなっていない。

年金も確定拠出型が主流となり、定年後にいくらもらえるかは自分の運用しだいだ。自己責任の名のもと、かつてのように潤沢な年金がもらえる保証はなくなった。

これがいま20代、30代の人たちなら、若い頃から覚悟ができている。バブルを知らない彼らは、自分たちの老後は会社も政府も保証してくれないと知っていて、それなりの覚悟や準備ができている。

ところが50歳前後の同世代の仲間は違う。若い頃に見た上司たちの姿が、自分の将来の姿だと思って生きてきた。

それが突然、はしごを外された格好になったのだ。

もちろん薄々は気づいているが、20代、30代ほど切実にはなれない。まもなく定年を迎えるのに、いまさらどうすればいいかわからない。これが多くの50歳前後の人たちの姿ではないだろうか。

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会社でも大変ないまの50歳

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