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「うっかり忘れ」は記憶力のせいじゃない

飯野謙次(スタンフォード大学工学博士/東京大学特任研究員)

2019年11月29日 公開 2024年12月16日 更新

アポを度忘れしていた、集中していたら時間の経過に気づかなかった、抜け落ちたようにすっかり忘れていた……日々、忙しくしている人ほど、相手からの電話を受けたり、締め切りを催促されて、ハッと気づくことがあるのではないだろうか。

実は、そんな「うっかり」や「失念」は、記憶力のせいではない。「うっかり」や「失念」を起こさないためにはどうすればいいのだろうか。

※本項は、飯野謙次著『ミスしても評価が高い人は、何をしているのか?』(日経BP)の一部を再編集したものです。
 

「記憶力」「注意力」に頼るという無謀

「申し訳ありません! 今から、急いでうかがいます!」

普段からスケジュール管理をしっかりしているつもりでも、アポや締め切りを失念して焦った経験のある方は多いと思います。

あるいは、失念とまではいかなくても、「本日のお約束は14時でしたか! 16時(4時)と勘違いしていました!」など、時間や場所の勘違いをしてしまったことは誰にでもあるのではないでしょうか。

このような肝を冷やす経験は、できるだけしたくないものですよね。

とくに多くのビジネスパーソンから聞こえてくるのは、「以前に比べて、最近物忘れが激しい。もう年かなぁ」という嘆きです。

皆さん、加齢による記憶力の低下によって、うっかりや失念が起こってしまっていると思い込んでしまっているのです。

しかし、実はこのようにうっかりや失念が起こってしまう原因は、記憶力の低下にあるのではありません。

それどころか、うっかりや失念の原因を記憶力の低下に求め改善しようとすれば、本来は不必要な負荷を脳に強いることになり、仕事の効率が低下してしまったり必要以上に疲れてしまったりします。

それは、私たち人間の脳は、そもそも、単純な予定を覚えておいたり、何かに対して常に注意を払っておくのが苦手なようにできているからです。

それなのに、「もっときちんと覚えておかなければ」「予定に気づくようにしなければ」と努力するのは、脳にとってはストレスでしかないことでしょう。

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「失念できない」を仕組み化する

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