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元花組トップの明日海りおが「新時代の宝塚歌劇の象徴」だった理由

松島奈巳 (演劇記者)

2019年12月04日 公開 2022年01月26日 更新

2019年11月24日の最終公演をもって宝塚歌劇を退団した明日海りお。
東京宝塚劇場公演千秋楽の模様は、過去最大規模の全国47都道府県に台湾、香港を加えた合計189カ所の映画館に生中継され、劇場前のパレードには延べ1万人が集結した。

宝塚歌劇100周年の2014年から、宝塚を代表するトップスターとして華やかに宝塚歌劇を牽引してきた明日海りおは、まさに変わりゆく宝塚を体現した存在でもあった。

89期の仲間たちと歩んできた時代を振り返り、トップスターの魅力を徹底分析、稀代のタカラジュンヌの秘密に迫る。

※本稿は松島奈巳著『宝塚歌劇 明日海りお論』(東京堂出版刊)より一部抜粋・編集したものです。

 

明日海りおの代表作は? 再演ラッシュが生んだ思いがけない効果

トップスターには、代名詞といえるステージがある。

真飛聖(まとぶせい)といったら、ショー『EXCITER!!』。
蘭寿とむ(らんじゅとむ)なら、『CONGA!!』とか。

月組トップの真琴つばさ(まことつばさ)は、東京宝塚劇場のこけら落としとなった『愛のソナタ』が思い出されるし、星組トップの湖月わたる(こづきわたる)には、サヨナラ公演『愛するには短すぎる』が忘れがたい。

では、明日海りおといえば?

2014年のトップ就任から2年をへて、これぞ、という作品は見当たらない。依然、筆者の中では『春の雪』ということになる。だが客席526席のバウホールと2550席の宝塚大劇場とでは、芝居の作り方が根本的に異なる。バウホールの場合、出演者も組子70人余の半分となる。

明日海りおの場合、トップ就任後に新作があまりにも少なかった。

「新境地が見たい」
「再演はもう飽きた」

だが怒涛の名作連チャンを喜ぶ声もあった。
というのも。

明日海りおファンには「それまで宝塚歌劇をまったく見ていなかったが、明日海りおがきっかけで好きになった」という層が、他のジェンヌよりも多いと思っている。具体的にどのくらいと言われても、返答に窮するのだが。

非・宝塚ファンがなぜ明日海りおを知り得たのか? 宝塚ファンの友人からDVDや専門誌『宝塚GRAPH』『歌劇』を借りてというのがまず王道だ。

もうひとつのルートは、テレビ番組。「SANSPO.COM」(2014年9月26日付)から。

《フジテレビ系の人気番組「SMAP×SMAP」の10月6日放送分(月曜後9・0)に、宝塚歌劇団の花組トップスターらが出演することが26日、分かった。

今年5月にトップとなった明日海りおをはじめ、トップ娘役の蘭乃はな(らんのはな)、さらに花組を彩る望海風斗(のぞみふうと)、芹香斗亜(せりかとあ)、柚香光(ゆずかれい)花組タカラジェンヌ5人が登場し、歌のコーナーでSMAPと共演する。

今回披露されるのは、一夜限りの豪華スペシャルメドレー。昨年の花組での公演後(初演は2011年の星組公演)、今年は香取慎吾ご主演で再び話題を呼んだ「オーシャンズ11」(大阪公演は10月22日~11月2日、梅田芸術劇場)の楽曲「Fate City」をはじめ、宝塚公演の作品の中から選りすぐられた名曲で構成される。》

外部媒体への出演について、2010年ごろから歌劇団は大きく舵を切った。

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ドメスティックな「秘密の花園」の扉がひらかれた

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