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「無添加」「医薬部外品」のちょっと怖い本当の意味

落合博子(国立病院機構東京医療センター形成外科医長)

2020年01月14日 公開 2021年08月20日 更新

2003年より国立病院機構東京医療センターで形成外科医長を務める落合博子氏は、約30年にわたって、多くの患者の肌の悩みを解決してきた再生医療のプロフェッショナルとして知られている。

そんな落合氏が、自著『美容常識の9割はウソ』にて、これまで語られてきた美容常識のウソを暴き、科学的エビデンスのある「究極×最強のスキンケア法」を示している。

ここでは、同書より「無添加」「医薬部外品」などの表示の本当の意味を解説した一節を紹介する。

※本稿は落合博子著『美容常識の9割はウソ』(PHP研究所刊)より一部抜粋・編集したものです

 

1980年に定められた「無添加」表示のルール

みなさんは「無添加(むてんか)化粧品」にどんなイメージをお持ちですか?

くわしくはわからないけれど、よけいな成分が入っていないから安全・安心なのでは? という印象があるかもしれません。

ここで無添加化粧品がどんなふうに生まれたかを、簡単にお話しておきましょう。その経緯は1980年の薬事法改正にさかのぼります。

当時の厚生省が1970年代に起こった化粧品トラブルの症例をもとに、アレルギーや皮膚炎、発がんなどの皮膚障害を起こす可能性がある約100種類の成分を「表示指定成分」と定め、化粧品に明記することを薬事法で義務づけました。

防腐剤、殺菌剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、合成界面活性剤、合成着色料、合成香料などがそうです。

そのため、これらの「表示指定成分」を含まない化粧品が登場しました。

これが「無添加化粧品」のはじまりです。

実際、当時も多くの女性に支持され、「無添加」は安全・安心の代名詞になりました。こうした流れで、「無添加」と書いてあれば安心して使えるというイメージが、いまでも多くの方に定着しているのかもしれません。

 

各メーカーのそれぞれの判断に委ねられる

ただ現在は、その後2000年の法律改正で化粧品に含まれるすべての成分が明記されることになったため、「表示指定成分」は廃止され、「全成分表示」が義務となりました。

ですから「無添加化粧品」というのは、30年前に表示が義務化された「旧表示指定成分」が使われていない化粧品を指すことが多いようです。

しかし実際には、指定成分以外にも無害ではない成分はありますし、「無添加」という表記自体には現在、法律の規制がありません。

つまり、各メーカーがそれぞれの判断で、「ある成分を排除している」ことを強調する場合に「無添加」とうたっている、ということになります。

たとえば、合成着色料を排除している商品は「無添加化粧品」をうたうことができますが、合成着色料が添加されていないだけで、肌に負担をかけるほかの成分は入っているかもしれないのです。

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意味を持たなくなってしまった「無添加」の表示

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