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「気軽な睡眠薬の服用」が「薬物中毒」へ…医師が警告するその危険性

内海聡(Tokyo DD Clinic院長、NPO法人薬害研究センター理事長)

2019年11月09日 公開 2024年12月16日 更新

<<日本が睡眠薬の消費量が世界一であることをご存知だろうか?

眠れないという行為は当然なのにすぐ処方され、眠りが浅くなる高齢者への処方はごく一般的で、成人だけでなく、発達障害者の子供に対しても処方されるようになった。

この睡眠薬が濫用されている現状に、医師の内海聡氏は警鐘をならす。副作用が少ないとされているが、実際には依存性があり、飲み始めると止めることが難しい。「ゲートウェイ・ドラッグ」と言われ、睡眠薬をきっかけに、うつ病に発展していくとも語る。

本稿では、内海氏の著書『睡眠薬中毒』にて、睡眠薬の多量摂取が危険な結果をもたらた例を紹介し、その危険性を指摘した一節を抜粋して紹介する。>>

※本稿は内海聡著『睡眠薬中毒』(PHP新書)より一部抜粋・編集したものです。
 

きっかけは軽い不眠から、気がつけばオーバードーズへ

睡眠薬は不幸への入り口である

「たかが睡眠薬が?」と思うだろうか。

「たかが……」と思う人のために、まず、2人の女性のケースを紹介したい。

当時、23歳だったAさんが医療機関にかかるようになったのは、軽い不眠がきっかけだった。最初に行ったのは近くの病院の内科。そこで「うつ、不眠症」と診断され、抗うつ薬と睡眠薬が処方された。

最初はそれで眠れるようになった。しかし、すぐに効かなくなった。

「薬が効かなくなったのか、また眠れなくなりました」

内科医にそう伝えると、近くのメンタルクリニックを紹介された。すぐに訪ねると、チェックシートの記入と簡単なカウンセリング、短時間の診察が行われ、また「うつ、不眠症」と診断された。

違ったのは、処方された薬が増えたことだ。

薬が増えたことでいったんは再び眠れるようになったものの、すぐに慣れて眠れなくなり、次に相談に行くと、また薬を増やされた。薬が増えれば眠れるようになるが、長くは続かず、また不眠に陥り、薬が増える──。

その繰り返しで、気づいたときには10種類以上の薬を飲んでいた。

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「いつ死んでも不思議ではない」処方量

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