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「3日後に死ぬ」 戸川純を震えさせた”恐怖の日野漫画”

戸川純(女優/歌手),寺井広樹(⽂筆家/日野プロダクション代表)

2020年01月22日 公開 2023年01月11日 更新

 

日野漫画はゴキブリと同じレベルの衝撃と機能美を可能にした!

――戸川さんから見た日野作品の魅力はどんなところにあると思いますか?

(戸川)色々ありますけど、やっぱり怖いもの見たさ、そいつを刺激されるんでしょうね。あれを思い出します。昔ね、ゴキブリホイホイにくっついてた大ゴキブリ。不気味なのに、怖いのに見ちゃうんですよ。そういう感覚に似たものがありますよね。

決して悪い意味じゃなくて、漫画でゴキブリレベルのことができちゃうんだっていうことに衝撃ですよね。

――ゴキブリレベルの衝撃を可能にした漫画・・・。

(戸川)私もゴキブリは大嫌いではあるけれど、アイツにも一つ認めているところがあるんですよ。それは、機能美。平たい隙間にも体を平べったくしてスルッと入る。そして、あのスピード感。無駄を一切削ぎ落とした美しさ。

ゴキブリにはゴキブリの魅力があるわけですよ。私はね、『蔵六の奇病』もグロテスクな中にも美しさを見るんですよ。あと、お父さんの背中の蜘蛛。あれがまた私は綺麗だと思う。日野漫画には不思議な美しさがありますよね。

 

ガラガラと価値観を崩されたい。

――本当は今回日野先生との対談をして頂きたかったんです。

(戸川)でも、私のことなんて知らないと思いますよ。

――実は、妹さん(戸川京子さん)が日野先生のアニメーション映画『東海道四谷怪談』にお岩さん役で声優として出演された時に、「うちの姉が日野先生の大ファンなんです」とおっしゃってたそうですよ。

(戸川)そうなんですか。知らなかった。

――日野先生も戸川さんにお会いしたいとおっしゃってました。

(戸川)えー! そしたら私固まってしゃべれないですよ。

――戸川さんが日野先生から受けられた影響とかはありますか?

(戸川)意識してる面ではそんなに無いと思うんです。でも、好きなものには無意識のうちに影響を受けてると思うんですよ。私グロテスクな歌詞とかも書いてるので、もしかしたら無意識のうちに日野漫画の影響を受けてるのかもしれませんね。

誰にも似てないことをやりたいと思って音楽を始めたんだけど、もしかしたらその中に例えば昔聞いた邦楽の何かの影響があるかもしれないとか、そこは頑なじゃなく柔軟に思ってますよ。

何しろ私、価値観をガラガラと壊されたい人間なもんですから。だから、日野先生の影響もあったかもしれないと思いますし、これからも価値観をガラガラと崩されたいって思ってますね。

 

戸川純(女優/歌手)
映画、ドラマ、舞台、CMなど出演作多数。CM『TOTOウォシュレット』、映画『釣りバカ日誌』『いかしたベイビー』、近作に演劇『グッド・デス・バイブレーション考』、近著に『ピーポー&メー』がある。音楽作品に『玉姫様』、『好き好き大好き』、『昭和享年』、自選ベスト3枚組『TOGAWA LEGEND』『わたしが鳴こうホトトギス』など多数。YAPOOSとして『ヤプーズの不審な行動 令和元年』発売中。発売記念ライブを2020.1.28(tue) 渋谷 Club Quattroにて開催。

寺井広樹(日野プロダクション代表/文筆家)
文筆家。日野日出志とともに日野プロダクションを設立。文筆業のかたわら地方創生事業に進出し、企画プロデュースした「お化け屋敷電車」「まずい棒」が話題に。今春公開の映画『電車を止めるな!』では原作・脚本を務める。『日野日出志 泣ける! 怪奇漫画集』(イカロス出版)、『ようかい でるでるばあ!!』(彩図社)、『南米妖怪図鑑』(ロクリン社)など著書多数。

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