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「スムーズな検査」にも貢献 医療現場にAIの導入が期待される理由

三津村直貴、岡本将輝・杉野智啓〈TOKYO analytica〉(監修)

2020年04月04日 公開 2024年12月16日 更新

新型コロナウイルスをきっかけに、医療体制への注目が集まっている。再びこうした事態が起きた時、医療者への負荷をいかに軽減し、医療崩壊を防いでいくか。一体どのような体制を築いておくべきなのか。その行方を左右するのが、「AI医療」の進歩である。

検査の予約、事前の問診、診断、検査後......。医療業務の各プロセスは、AIの導入によってまだまだ効率化できる余地がある。それにより、病院での待ち時間短縮や診断スピードの向上など、患者側と病院側、双方の負担を減らす効果も期待されるという。

『60分でわかる! AI医療&ヘルスケア 最前線』〔三津村直貴 著、岡本将輝・杉野智啓(TOKYO analytica) 監修〕は、AIの活用によって医療がいかに変わっていくのかを解説した1冊である。本稿では同書より、スムーズな検査や正確な診断に「AI医療」はどのように貢献するのか、その可能性について書かれた一節を紹介する。

※本稿は三津村直貴 著、 岡本将輝・杉野智啓(TOKYO analytica) 監修『60分でわかる! AI医療&ヘルスケア 最前線』(技術評論社)より一部抜粋・編集したものです。

 

「スムーズな検査」が可能に

医療業務の中でも特に時間がかかるのは、疾患の有無や病気の進行を調べる各種検査です。しかし、AIの導入によってこれらのプロセスは簡略化できます。たとえば検査の予約です。

検査項目に応じて担当する医師や看護師、検査機器の空き状況を調べ、それに合わせて予約を入れるといった工程をAIが代替すれば、患者も医師も大幅に時間を節約できます。

また、検査前の問診も自動化が可能です。従来の問診票は紙にコピーされたものであり、どの患者に対しても同じ質問しかできませんでした。しかし現在では、患者がタブレット端末に入力した情報に応じてAIがより適切な質問を選び、諸症状や病歴、服用中の医薬品といった情報を収集できます。

このように、診察時に医師の知りたい情報がスムーズに提供されるしくみはすでに整いつつあるのです。そのほか、患者の主観によらない客観的データをセンサー類で取れるようになったことも、問診の精度向上に寄与しています。

もっとも大きく変革するのが、検査後のプロセスです。現在は検査機器自体にもAIの導入が進んでおり、レントゲン・CTスキャン・心電図・血液検査・聴診に至るまで、AIによる診断機能を搭載した検査方法が開発されています。

従来、このように高度な医療機器を用いた検査では、得られたデータを専門医がすべて目視でチェックしており、非常に長い時間がかかっていました。しかしAIによって「明らかに問題のないもの」を除外することが可能になり、チェックする必要のあるデータだけを見られるようになったのです。

 

スマホで事前に問診 「待ち時間」激減の効果も

問診とは、診断の参考にするために医師が患者に病歴や症状などを尋ねることです。多くの場合、医師が直接患者に質問する前に「問診票」のようなものを患者に書いてもらい、診察の際にその情報を参考に質問をしていきます。デジタル問診票のメリットは、すでに触れたようなデジタル化による効率化だけではありません。他にもさまざまな面で強みがあります。

まず、デジタル化された問診票であれば、質問事項を自由に追加することが可能です。特定の質問にYESと答えた人に質問を追加したり、痛みがあると答えた人に程度を表現してもらったり、痛みの周期や症状の回数などをより詳しく記入してもらうことができます。

これは医師による問診に極めて近く、医師が直接問診を行う前に必要な情報が全て記入された状態にしておくこともできるでしょう。そして、現場の医師は重要な項目のみ直接確認し、すぐに診断を下すことが可能となります。

その結果、患者の待ち時間が減り、通院全体の時間が減ります。さらに、この問診は患者個人が持っているスマートフォンと連携することが可能なため、病院に着く前の移動中に記入しておき、到着してすぐに診察を受けるということも可能になります。AIによる問診によって、今までに当たり前だった長い待ち時間が軽減に向かうでしょう。

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どこでも素早く適切な医療が受けられる体制

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