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くらし

ゲームでは嫌われ者? 戦国公卿・山科言継と、珍味「鯨のアレ」との意外な関係

黒澤はゆま(歴史小説家)

2020年04月21日 公開 2020年04月30日 更新

 

実際に食べてみた「鯨のたけり」

というわけで、〆谷商店さんから仕入れた鯨のたけりを使って、実食である。

まず、たけりを袋から出して、ラップに包み冷蔵庫に置く。8時間ほどで解凍完了。弾力があって牛スジそっくりの感触だ。

かるく湯がいた後、水にさらし、冷蔵庫でもう一度冷やした後、大根おろしとともに皿に盛った。調味料は、前もって作っていた煎り酒(左上)、塩(右上)、醤油(左下)、酢(右下)。四つとも、当時、存在したことが確認されている調味料だ。

まず何もつけずに食べた。案外、淡白である。ゼラチン質のクニクニした感じの食感が面白く、後味でほのかに、ほやっぽい磯臭さを感じる。面白いことに、獣臭さはまったくない。

次に醤油。たけりが淡白なので、風味の強い醤油の存在感が前面に出る。たけりの独特の食感を楽しみながら、醤油のうま味を味わうことが出来、結構美味い。ただ、磯臭さが完全に消えてしまうため、ちょっと淋しいような気もする。

酢。これはあわない。磯臭さが強調され、美味しくない。

煎り酒。まぁまぁ。風味が控えめなので、素材の個性をよくも悪くも邪魔しない。たけりの磯臭さに、そっと酸味とうま味を添えている感じ。当時、醤油は高級品なので、言継は煎り酒と一緒に食べたのかもしれない。

塩。あわない。こういうゼラチン100%の食材は、口のなかで塩と馴染まないようだ。上滑りしている感じである。

番外。当時なかった、ポン酢に、大根おろし、唐辛子、刻んだニラと一緒に一時間ほど漬け込んでみた。激ウマ!! ボリューミーな虎フグの皮湯引きを食べている感じ。ビール、日本酒にあいそう。

ただ、フカヒレとか、ゼラチン系の食材にありがちだが、結局、調味料や薬味がうまいのであって、こいつは単に歯ごたえとか食感を提供してるだけなんじゃないの?という気がしないでもない今日この頃である。

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